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女刑事と将門さん  作者: 安土朝顔
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第6話

桜前線がとテレビで言われ始めた頃、鈴は地域課長に呼ばれて少し早めの出勤をしていた。




「おはようござます。課長」


「おはよう守矢。こっちだ」




 会議室に連れていかれて、何かミスでもした? と鈴は冷や汗をかいた。




「まあ座れ」


「はい」


「もう直ぐ四月だな」


「そうですね。死体の痛みが早くなって嫌な時期になってきました」


「あのなあ、もうちょっと情緒のある言いかたがあるだろう」




 少し考えてから、鈴が口を開いた。




「浮かれた馬鹿どもがゴキブリみたいに湧いてきますね」




 課長が呆れたみたいに溜息を吐いたけど毎日、犯罪をする馬鹿どもを相手にして情緒もクソもないからと、言葉にしようとして飲み込んで課長の言葉を待った。




「そうだな。確かに花見の季節だしな。だが今年から守矢はあまり関係なくなる」


「どういう事ですか?」


「異動だ」


「は?」


「警視庁捜査一課機動捜査隊に配属に決まった」


「ちょーーっと待ってください! 刑事課すっ飛ばして捜査一課ですか?!」




 鈴は驚きすぎて、無意識に立ち上がっていた。




「そうだな。お前、断り続けたもんな」


「断り続けてましたね! いやいやそうじゃなくて、刑事経験ないんですけど?!」


「俺も言ったんだがな。どこで初めても同じだって言われた。俺もそうだなって思ったし」


「嫌でず~~課長~~刑事なんて嫌です~~」




 上からの辞令の背けないのは分かっている。座りなおした鈴は、机に突っ伏して嫌だ嫌だと駄々をこねた。分かってはいるけど、気持ちの整理がつかない。




「前々から目を付けられてからなあ。年貢の納め時ってやつだ。腹を括れ」




 小さい唸りを上げてから、どうせ言われた通り腹を括るしかないのだ。




「わかりました!」




 今度は急に勢いよく立ち上がった鈴は、課長に決闘でも申し込む勢いで宣言した。




「有給! 二週間もらいます!」


「二週間は無理だな」




 課長の即答に「何でですか~~! 餞別にいいじゃないですか!」と泣きを入れる。




「よし。話は終わりだ。準備をしておくように」と課長は会議室を出て行った。


 異動前の手続きや引継ぎを終わらせた鈴は、二週間は無理だったが、一週間の有給取得を獲得していた。話が分かる課長で良かったと、鈴は手早くネットで宿泊先を予約して東北に来ていた。




 ほぼ思い当たりで会津若松から車で移動して東京に帰る前に茨城県に寄ってみようかなと思い立った鈴は、國王神社というところに来ていた。




 ナビで何となく目に付いて来たけど、のどかな場所で静かだしラッキーだった。


 鞄からスマホを取り出す。スマホケースに付けている警察のマスコットのピーポー君がだいぶと汚れていた。

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