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女刑事と将門さん  作者: 安土朝顔
24/63

第24話

 頭に流れてくるのは男が刺されている映像。そしてまた鼻歌。新しくない木造のアパートの一室。どこ? 住所がわかる何かを見つけないと。




 脳に直接刺されているような痛みを我慢して手掛かりがないか集中するが、見つけられない。




 ない、ない! 半分開いている窓の隙間にから見えるのは煙突と電柱で……何となく犯人と自分の意識が離れていくような気がして、訳も分からないままに「放すか!」と鈴は掴めない空気をまるで掴みに行くようにもがいた。




 より頭痛がひどくなって割れそうだ。開いていた窓に近づき外の景色が見えた。これだ! と見た瞬間、全てを手放すような感覚で頭痛から解放された。




「鈴さん! 鈴さん!」


「――大丈夫です」


「でも!」




 まだ少し頭は痛いがそうは言ってもいられない。




「本当に大丈夫。桜葉さん、一つ聞いても?」


「はい」


「車、貸して欲しい。今直ぐに」


「構いませんが、鈴さんが運転するんですか?」


「そう。貸して、くれるよね?」


「――分かりました。でも僕も一緒に乗るから」




 桜葉の返事を聞いた鈴は機捜の加地に電話をかけ、さっき見た番号を至急調べて折り返して欲しいと言って電話を切った。




 スマホを助手席の桜葉の渡し、鈴はアクセルを踏んだ。大まかな場所は分かっが、あとは加地からの連絡待ちだ。




現場付近に着くまでには分かるだろうと鈴がハンドルを握った。




 雨の勢いが増してきて視界が悪くなってきた。




「鈴さん」


「何?」


「大丈夫ですか?」




 なんて答えていいのか分からない。こういう場合は相手を安心させるためにも大丈夫と答えるのが正解だとは分かっていても、向かっている場所はそうとは多分言えないだろう。




 それに桜葉は一般人で現場を見せる訳にはいかない。大人しく車で待っていてもらうしかない。




 鈴は桜葉を横目で見たら、本当に心配そうな顔をして鈴を見ているから思わず罪悪感なのか巻き込んでしまうからか、申し訳ない気持ちなる。




 桜葉のハンドさんが大人しい。こんなに動きがない、乗っかっているだけの状態って初めて会った以降かもしれない。鈴は「あまり大丈夫じゃないかも」と返しておいた。




 ちょうど現場付近に着いて車で煙突を探している時、加地からの折り返しがきた。




「桜葉さん、スピーカ―にして」


「はい」




 電話に出たとたん「守矢~~! お前な!」と加地の本気で怒ってない声が社内に響いた。




「お疲れ様です。今、スピーカーにして話してるんで」


「お前、今日はデートじゃなかったか?」


「だから今、助手席に桜葉さんがいます」


「本当、お前な、デート中に何やってんの?」


「それより電柱番号の住所、分かりましたか?」「


「はいはい分かったよ。今、どの辺にいるんだ?」


「練馬区関町にいます」


「なら詳しい番地を送る。俺もそこに行けばいいんだな」


「お願いします」




 電話を切って送られてきた番地は今いる鈴たちの直ぐ近くだった。




 探していたアパートの前に車を止め、映像で見た同じ光景があった。さっきの勢いはないものの雨はり降り続いている。




「桜葉さんは、車の中で待ってて」


「大丈夫なんですか? 加地さんが来るまで待っていた方が」


「問題ないから。桜葉さんは車で待機」




 車を降りた鈴は、見えた映像から部屋の場所を確認する。少し錆びついた階段を上がって道路側の一番端の部屋の前に立ってインターフォンを押した。反応がないのでおもう一度押す。




 薄い玄関扉に耳を当てると僅かに物音がした。鈴がゆっくりドアノブを回すと、あっけなく扉が開いた。

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