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女刑事と将門さん  作者: 安土朝顔
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第22話

 最近、年に数回だった夢が今は週に三回前後になって鈴はうんざりしていた。同時に、鈴の朝晩だろが夜勤だろが出勤すると桜葉のお出迎えがさらに鈴にテンションを下げていた。




 今日は夜勤のシフトで出勤すればすでに職員か? というくらいに馴染んだ桜葉が先輩たちに話しかけられている。




「おはようございます」


「今日もお待ちだぞ」


「あのですね本当、私の勤務体形を漏らすの、コンプライアンス的にどうなんですか? それに桜葉さんも暇なんですか?」


「するべき仕事をして鈴さんに会いにきているので大丈夫です。この後もまた会社に戻ります。心配して頂いてありがとうございます」




 この人、本当にポジティブで嫌味が通じないから出勤早々にいつも疲れる。おまけに上層部とも繋がりがあるみたいで、シフトは駄々洩れでも問題ないみたいな扱い。ここ警視庁なのにと鈴は天上を仰いだ。




 立ち上がった桜葉は「では今日も鈴さんの顔を見られましたので今日はこれで」と礼儀正しく他の刑事にも挨拶をして部屋を出ていく。




「桜葉さん、超金持ちで性格も良くてイケメンで礼儀正しくて、健気だよなあ守矢」


「それとかなり神経が図太い。図太すぎる。で、今日は何の差し入れをもらったんですか?」


「高級焼肉店の焼肉丼だ! いや~~お前は出勤してくる時間は、最近取り合いだぞ?」


「食べ物に釣られ過ぎですよ。ほら、行きますよ」




 俺の焼肉丼と叫ぶ加地を引っ張りパトロールに向かった。




 どこかで怨霊が憑りついた事件が起きているかもしれないが、通常の事件はあっても、頭痛が起きて映像を見なければ怨霊がらみのそれらしい事件に遭遇せずにここ最近過ぎていた。




 鈴は加地から本当に桜葉を切り離したいなら、一度デートをして幻滅させては? と言われてたまにはいい事を言うなと見直したら「幻滅させられても、差入れだけはお願いしておいてくれ」と言われて、赤橙を出した時にカーチェイス並みの運転を披露してあげた。顔を真っ青にして喜んでくれたようだった。




 そして鈴は、出勤する度にいる桜葉にデートの申し込みと初めて連絡先の交換をした。





 ピーポー君のキーホルダーに入っていた将門は故郷の歌を歌い、桜葉の肩に乗っている手も何故か喜んでいるようだった。デートは桜葉の休みに合わせることになったので、週末にすることになった。




 夜勤明けだった鈴は、昼食とその後のデートプランは桜葉に任せることになっている。




 梅雨に入って雨はまだ少ないけど、外は蒸し暑くなってきている。本当は家で一日中、ダラダラしたけどここを踏んばれば、一つ問題は解決して怨霊のほうに集中できるはず。怠い体に鞭打って、迎えに来た桜葉と鈴は対面した。




「こんにちわ」


「あ、はい。こんにちわ。今日はよろしくお願いします」




 黒のグロックスパンツにグレーの七分袖のニット。きっと高い物なんだろうけど、桜葉なら千円の服でもブランド物みたいに見えるだろう。




 鈴はベンツの助手席の扉を開けて待っている桜葉のスペックの高さに、自分の着ている小花柄のワンピースが凄く安物に見て溜息が出た。




「ランチですが僕のお気に入りの店があるので、そこでいいですか?」


「大丈夫です」




 車中では桜葉が今力を入れている事業の話をしていて、会社のプレゼンをされているような気分だった。それに少し嬉しそうだ。仕事が好きなんだろうなと、鈴は適当に相づちを返した。




「着きました。ここです」




 車を止めて案内された店は、思った通りサラリーマンがサラッと入れるような店ではなかった。




通されたのは個室で渡された金額のないメニュー。まさか生きている内に見ることになるとは思わなかったと、鈴の口元は引き引き攣る。




 出された料理は全て美味しかった。桜葉はこんなに話す人だったかな? と言うくらい色々と話していた気がする。話の内容はやはり仕事がメインで、日本やアメリカ経済の話で一人盛りあがっていた。




 日頃、国内の犯罪に向き合っている鈴からすれば、世界経済の話は脳が拒否反応を起こして日本語として認識していなかった。それでも社会人として「そうですか」と合いの手を打っていた。

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