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女刑事と将門さん  作者: 安土朝顔
19/63

第19話

「一〇歳前後だったかな? たまに死者とリンクすることがあってさ。山姥みたいな女の人が、女の人の首を切っているのが見えてたんだ。それから首を切られた女の人が、自分の首を持ってた。子供の頃はそういのが頻繁で、母方の遠い親戚が神社をしててお守りをもらったりして、だいぶマシになったんだ。霊をずっと見なくても済む方法とか簡単なお祓いを教えてもらったり。でも今度は夢に出てくるようになったんだけど、ここしばらくはあまり見なかったの。それなのに最近、夢だけじゃなくて白昼夢みたいに見始めてさ~~おまけによく分からない映像? みたいなのも見えるのよ」


「神社でお守りとは、ずっとしておる翡翠の首飾りじゃな」


「そうそう。そう言えば白昼夢とか見る時、この翡翠が一瞬だけ熱くなるようになったかも」


「――そうか。うむ」




 将門が考え込んだ顔をしていたが、話しを進めてきた。




「あとよく分からない映像とはなんじゃ?」


「山姥女目線じゃないような映像。誰か分からないけど誰かの目線っていうのかな。最近、なんかよく見るんだけどその時、凄く鋭いもので刺されたみたいな痛みが走るんだ。たまったもんじゃないよ」


「やはり鈴は霊力が強いんじゃろうな。で、今日どんな映像を見たっぺ?」


「少し前にも見た映像の続きみたいな感じだった。多分、親に虐待されている子供じゃないかな?」




 桜葉の事だけで疲れがいつもの倍以上にするのに、虐待死させられた子供であろう映像は中々精神的にくるものだった。




「鈴、一つよいか?」


「ん?」


「その子供の映像じゃが、本当に死んでおるのか?」


「え? だって今まで私が見てきたのは、波長の合う死者の記憶だったし」


「確信はあるのか?」




 そう言われれば、今まで見てきたリンクした映像は死んでいく様を記憶だったり死んだ後ばかりだった。でも今回見たのは、誰からかの視点で死んでいく人間の視点ではなかった。




「じゃあ、あの子供は生きてる? ってこと?」


「かもしれんの。何か所在が分かるものは見なかったっぺ?」


「郵便物があった」




 鈴は一瞬迷ったが、もし何もなければ怒られるだけだろう、でも万が一にあの映像が本当だったら取り返しがつかないと、立ち上がった。




「将門さん。行くよ」


「あい分かった」


「あ、ぬいぐるみのピーポー君を買ってきたから、今日はそっちに入って」




 鈴は警視庁で買ってきたぬいぐるみを将門の生首に向けて放り投げた。




 鈴のマンションから映像で見た住所は、車で三〇分ほど走らせた場所にあった。東京二三区外だが通勤の便もいい新しくできた住宅街だ。




区画整理された住宅から、若い夫婦が多そうというのが鈴の感想だった。




「鈴、どこの家だっぺ?」




 鈴はピーポー君のぬいぐるみを脇に抱え、番地と表札を確認していく。




「ここだ。名前も島谷だった。将門さん。怨霊の気配はどうなの?」


「少し感じる。当たりじゃ」




 玄関先には、子供用の自転車やおもちゃが置いてあった。鈴はどんな口実にするのか、どうやって中に入り込むか考えながらインターフォンの前に立ち深呼吸をしてボタンを押した。




「はい」


「すみません。この辺りで事件がありましてお話を伺いたくて」




 インターフォンに警察バッヂを向ける。




「少しお待ち下さい」




 数秒して、玄関の扉が開いた。出てきた女性は三〇代前半で小奇麗な格好をしていたが、その体には黒い靄が纏わり付いていた。




「こんにちわ」


「あの、事件って」


「そうなんですよ。最近、この隣の町内で空き巣などが増えてるんですが、不審人物を見たとかありますか?」


「――いえ、ありません」


「そうですか。あ、すみませんが、ちょっとトイレを貸してもらえないですか? この辺はコンビニもなくてずーーっと我慢していて限界で」


「あ、いえ」


「すみませ~~ん! ありがとうございます」




 鈴は返事を待たず強引に家に上がり込んだ。




「えっと~~トイレは~~」




 探す振りをしながら部屋の扉を開けていく。




「ちょっと! 刑事さん!」


「鈴、二階じゃ」




 将門が小声で教えてくれた。隙を空いて一気に階段を上がり、三つある扉を全て開けていくと最後の部屋に子供はいた。

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