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女刑事と将門さん  作者: 安土朝顔
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第15話

 歓迎会が終わって解散になる時、加地はこっそり飯塚に誘われ二人で場所を変えて飲む事になった。




向かったのは飯塚の行きつけだという割烹料理店だった。


 飯塚は日本酒、加地は焼酎を頼んだ。




「今日は大変だったな」


「はい。あんな惨い死体は初めてでした」




 あの時の光景はしばらく忘れられないなと思うと同時に、加地は鈴を思い浮かべていた。




「で、守矢はどうだ?」


「運転技術は抜群ですね。俺が今まで乗った中で最高の走りをしてましたが、何せスピードが凄かったです」


「七位だったな確か。しかし今日の遺体の損傷は稀にみる酷さで、現場に入った関係がほとんど吐いていたらしいが、守矢にそんなダメージを受けている様子には見えなかったが」




 そうなのだ。守矢は表情一つ変えずあの惨状に中にいた。それを見た加地は、こいつは人間か? と少し今日始めた会った守矢鈴を怖いと思ってしまった。




「――かなり根性が座っているか、ぶっ壊れているじゃないですかね」




 加地は焼酎を一気に喉に流し込んだ。




「根性が座っているほうがいいな」




 係長の言う通り、根性が座っているほうがマシだが、俺はどっちかと言うとぶっ壊れてる方だと思うんだよな~~話していると何処にもいる子だが、心が宿っていないというか感情が無に近い気がする。




かといって正義感が強い訳でもなさそうだった。だが検挙実績は折り紙付き。またちぐはぐな癖の強そうな新人の教育を任されたもんだよ。




加地は大将に焼酎のお代わりを頼んだ。






 鈴の休暇の朝の目覚めは最悪だった。また、山姥女と首を切られた女を夢で見たからだ。




 最近、また見るようになった。本庁に異動になったし、データで首切り事件を加地さんに相談して探してみよう。もうかれこれ一八年近く夢にお邪魔されても困るっている。早く成仏してもらいたい。




しかしあの事件に遭遇した日、初めて起きている時に見た山姥女目線の白昼夢みたいなものは何だったんだろう。




 ベッドの上で寝ぼけている鈴の耳に、リビングからテレビの音がしていた。




 昨日、消して寝たはずだと思いながら鈴がリビングに入ると、テーブルに乗っている将門の首がテレビに向いていた。




「将門さん。もしかして、テレビを見てるの?」


「おお! 起きた鈴。うむ。暇なときに社務所でも見ておったが、あまり好きに見れんかったっぺ。東京は凄いんじゃな! このパンケーキとやらが食べてみたいっぺ」




 目をランランとさせて訴えてくる将門に、鈴の顔は引き攣った。




「食べられないじゃん」


「お供えしてくれたら食べれるんじゃがな」




 凄く切なそうに言われて鈴は困った。




「まあ今日は、この店の近くにある百貨店に出産した友達のプレゼントを買いに行くけど」


「真か! もちろん儂も付いて行くっぺ」




 ステップを踏んでいるみたいに、生首が跳ねている光景は普通から見れば異様だけど、もうだいぶ鈴も見慣れてしまった。




 オレンジのトップスにミモレ丈の黒のスカート、スニーカーを履いた鈴は車に乗り込むと、助手席にちょこんと将門の首が乗っている。その顔は満面の笑顔だ。




 私、生首をペットにしてるみたいで凄く微妙なんだけど。これ、私みたいに霊感がある人が見たら卒倒しそう。鈴は助手席をジッと見つめた。




「なんじゃ鈴?」


「楽しそうで何より。出発するね」




 鈴は車を発進させて、目的の百貨店に向かった。パーキングに車を止めて、将門にフヨフヨと目に付くからピーポー君に入っておくようにお願いしをして、早々に百貨店で買い物を済ませた。




「鈴。鈴。パンケーキはまだか?」


「まだ。今、移動してるから。着いたら言うから」




 小声で周りから変に見えないように、階を移動していた。一階に着いて出口に向かっている時だった。




「キャーーッ!」と女性の声が聞こえてきた。


 職業柄鈴は、声が聞こえた方に走り出していた。




「鞄に詰めろ! 早くしろ! 出ないとこの客を殺すぞ!」




 一階のブランドブティック店内で覆面をした男が、人質を盾にして高級腕時計や小物を鞄に詰めるように指示していた。




 犯人は一七〇センチ前後に対し、人質は二〇代半ばの一八〇センチ以上はありそうな身なりのいい細身の男性。そう。なぜか犯人がとった人質は長身の男性だった。




 店内を見ると、女性らしき客がいないから近くにいたあの男性を盾にしたんだろけど……犯人は馬鹿なのかな? 




人質の様子を見ていた鈴だったが、数メートル離れたところから「坊ちゃんより私を人質にしてください!」と初老の男性が訴えているが、犯人うるさい! と叫びながら、刃物を振り回している。

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