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女刑事と将門さん  作者: 安土朝顔
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第13話

家で服を着替えて車に戻ると、加地が運転席に座っていた。




「私が運転しますよ」


「いや俺が運転するわ。もういい時間だし、本庁に帰って報告を書いたらいい時間になる。夜はお前の歓迎会だ! 酒だ!」


「そうなんですか?! 聞いてなかったんですけど?」


「今言っただろ? 事件もあったから言いそびれた」


「歓迎会なら高級焼肉がいいです!」


「お前……どんなメンタルしてるんだよ。俺、しばらく肉は無理だわ。絶対に無理。吐く自信がある」




 そりゃあ子供の頃から、生身ではないとは言えグロい死者を見てきたらある程度の免疫が付いてしまった。




 それに警察官をしていると、それなりに死体との対面はある。ただ今回みたいな死体は別格だったけど。


 加地に言われて、やっぱり自分はちょっとどこかズレてるなと、鈴は窓に流れる景色をぼんやりと眺めていた。




 その夜、歓迎会と言う名の飲み会から帰った鈴は、酔いに酔ったおじさん達を置いてマンションに帰ってきた。




「今日は疲れたじゃろ」




 ぴょこんとピーポー君が、鈴の胸ポケットから飛び出して肩に乗っかってきた。




「疲れたよ~~歓迎会。もう最後のほうは、ただ酒を飲む会になってたし」


「しかし鈴は酒が強いっぺ。あれだけ飲んだに酔ってないっぺ。さてはワクじゃな」


「そうなんだよね~~」




 着ていた服をポイポイ脱ぎ捨て下着姿になった鈴に将門が急に「破廉恥じゃ~~!」と叫んで驚いた。




「何、急に?」


「お、女子が男子の前で服を脱ぐとは!」


「何を今さら。おじいちゃんの前で裸になっても、別に恥ずかしくもなんともないもん」


「お、おじいちゃん? 儂がが?」


「だって千歳は超えてるでしょ? 超おじいちゃんじゃん。それに神様だし? 特に警戒する必要もないでしょ」


「そ、そういう事ではないぞ! 女子なら恥じらいをだな」


「でも将門さん、ずっと私の胸ポケットにいたじゃん。それなりに胸があるからフカフカだったしょ?」




 鈴はニヤリとして言ってやれば、ピーポー君が急にロケットみたいに飛んで天井に当たって落ちた。




「風呂に入ったら、将門さんに聞きたい事があるから待っててよ」




 風呂から上がってきた鈴は、ソファを背もたれにしてリビングのラグの上に座った。




「将門さん。今日の話の続きを聞かせてよ」




 ソファに座って? いた将門は目を閉じていて、まさしく晒し首ってやつだなと鈴はその光景がシュールで何とも言えない気持ちになった。




「あい分かった。まずは何が聞きたい?」


「怨霊に本体があるとか言ってなかった?」


「うむ。そうじゃ。本体がおる」


「でも前に説明で、怨霊は人の私怨がつくり出したものだって言ってたじゃん」


「元はそうなんじゃ。だが、誰かが首塚に何かをしたんじゃろう。怨霊という言わば不確かな物が、そのせいで実体を持ったというかんじだっぺ」




 要は人間の私怨が怨霊化した。でもそれはあくまでも霊的な物だったのが何かしらの理由で実体、すなわち体を得たという事になる。




「え? 人間として存在しているってこと?」


「うーーん。多分じゃが、儂が確認してきた感じでは、人間が怨霊を取り込んだように感じたっぺ?」


「え? そんな事ができるの?」




 そんな事が出来るなら、ヤバくない? というのは鈴の気持ちだった。




 スマホで日本の怨霊で調べると平将門、崇徳天皇、菅原道真と出てくる。でもどれも結局が神社に奉られて神様になっている。




「今調べたら、日本の三大怨霊の人たちは将門さんも含めて神様になってるからセーフ?」


「セーフと言うか、本来生身の人間が体に怨霊を取り込むなんてできんのじゃ。じゃがそれをしてしもうた者がおる。意図的なのか偶発的なのかわかんが」


「どういう事?」


「何とも言えんが、常人とは掛け離れた深い恨み妬み、その人物その者が怨霊に近いものになってしもうていた可能性はあるのう」




 人を怨むにも妬むにもそれなりのエネルギーが必要なのを鈴は知っていた。それなのに自分自身が怨霊に近いものになるなんて、どれだけの恨みとか抱えている人間なのか。




そんな人物が近くにいたとしたら、かなり怖いんじゃないかと鈴は寒気を感じたと同時に、頭に浮かんだ事があった。

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