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女刑事と将門さん  作者: 安土朝顔
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第12話

 到着した救急車に死亡した被疑者を乗せ、加地は玄関で待機していた警察官に対して何故、猫を入れたのかと怒っている。




 そう言えばあの猫、気が付けばいなくなってたけど何処に行ったんだろう。あの猫が急に飛びだしてきて、黒い靄が一気に無くなったのだ。怨霊も猫の威嚇が怖かったとか? そんな事はないか。でもなら何故急に消えたんだろう。




 慌ただしい現場をぼんやりと眺めていると、鈴の足元に柔らかい物が当たった。




「あ、白猫」




 チョンと鈴の前に座ると「儂じゃ」と聞き覚えのある声で猫が喋った。




「は? え? 将門さん?」


「そうじゃよ」


「そうじゃよ、じゃない!」と思わず大声を上げそうになって、鈴はグッと声を飲み込んだ。




「朝から姿が見えなかったし、それに何で猫? ピーポー君じゃなかったの?」


「人形が動いておったら大騒ぎになるじゃろ」




 確かに。何と言うか将門さん、正論を言ってくるから反対に冷静になれると、鈴の気持ちも落ち着きを取り戻した。しゃがみ込んで鈴は猫に話しかける。




「というか、朝からどこに行ってたの? 肝心な時にいないし」


「すまんがった。今一度、首塚を確認しておこうかと思ってな」




 今更? と思いつつ靄が消えた事が気になった。




「将門さんが猫パンチしたら、黒い靄が消えたんだけど何で?」


「儂が祓ったぺ」


「それじゃあ怨霊はもう出ないの?」


「いんや。あれは怨霊の一部だっぺ。本体がどこかにおる」


「それじゃあ、将門さんが真っ黒な靄がある場所を探せば解決じゃないの?」


「それがじゃなあ~~」


「おい守矢。気分が悪いのか?」




 振り返ると加地が心配そうに鈴を覗き込んでいた。




「ま、まあ」


「そうだよな~~って、その猫! 急に入ってきた猫じゃねえか。と言っても、猫を入れた奴が悪いんだけどな」




 ニャアと一鳴きして白猫はどこかに行ってしまったが、将門の生首がフヨフヨとしている。他の人には見えないけれど、霊感がある人には見えているかもしれないのにやめて欲しい。




 私が侍に憑りつかれているみたいに見えて嫌だと伝えたくても、鈴は今声に出す訳にはいかない。




「話の続きはまた後でじゃ」




 言うや否や、ポトリと音がしてピーポー君が落ちていた。




「何か落ちたぞ?」


「わ、私のです」


「えらく汚れてるな。新しいのに買い換えたほうがいいんじゃないか?」




 加地が拾ってくれたピーポー君を受けとる、アニメな目がパチリと鈴にウインクをしてきた。




「守矢。お前の家に行くぞ」


「え? 何で、ですか?」


「服を見てみろ。今日来たばっかりで着替えなんて用意してないだろ」




 確かに。まさか今日着任してあんなハードモードな状況になるとは思っていなかったし、今まで制服だったから着替えを置いておくという事に頭は回らなかった。




「俺らはスーツをあまり着る事はない。常に私服だ。だから動きやすい服を着てこい。あと靴の変えもロッカーに置いておくように」




 だから皆、私服だったのか。加地さん、車の中で警視庁近くにある美味しいお店の話しとかじゃなくて、そういう仕事の事を教えてくれたらよかったのに。




 それにしても少し服と靴を揃えたほうがいいか。余分な出費だなと、鈴と加地は車に乗り込んだ。

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