第十一話
ライオネルは鎌をかざした。ライオネルがまとってる白銀の鎧によく似合う鎌である。
「貴様を断罪してやる!! このバラキエルの鎌でな!」
そう言って鎌から雷撃を発した。結界を張ってるアネットは無事だ。
呪文を唱えもっと巨大な雷撃をアネットはライオネルに向けて発した。
「お久しぶりね、兄さま。とても兄さまには見えぬ風貌ですが。天使ではなくまるで堕天使ですわ」
皮肉な笑みを浮かべるアネット。
「そうだ。俺のあだ名は『断罪のライオネル』だ。貴族制度で腐った人間を断罪しあの世に葬ってやったぞ。一部の人間は罪の赦しを授けるためにこの我の体に取り込んでやった! 堕天使ってのは基本汚れ仕事なんでね、誉め言葉と受け取らせてもらう」
鎌を振るうだけで闇魔法が炸裂する。アネットが張った結界に細かい傷がつく。
「お前を食うと……さぞかし旨いんだろうな」
光属性の攻撃魔法も炸裂する。だがアネットは無事だ。
「あら、私の肉は落ちこぼれだから不味いわよ? だから魔導学院に放り込んだんでしょう? 邪魔者として!」
アネットの爆撃魔法も炸裂する。互いが準備運動だ。
「アネット! 無属性魔法を唱えて見ろ!」
フェルナンデスの助言が聞こえる。早速唱えたが結界によってはじかれた。
いいや、少しは効いたのだ。結界自体に重力がよりかかった。アネットが唱えたのはグラビティ―の魔法だ。
アネットはシルバーアローの魔法を唱えた。すると結界に少しだけ傷がついた。張った結界が重力魔法につられてライオネルの動きも鈍くなっている。
(そういえば相手陣はフェルナンデスのように助言することないわね? どういうことかしら? ルールでは助言は認められているのに)
「お前のせいで! お前のせいで!」
ライオネルが次々攻撃を仕掛ける。だがアネットは動じない。アネットの結界はむしろ分厚くなった。アネットは何度も回復魔法を唱えた。
「気は済んだ?」
アネットは冷静だった。
「ドレイン!」
なんと結界に向かってドレインを撃った。
「馬鹿め! 跳ね返って自分の魔力が吸収されるだけだぞ」
「それはどうかしら?」
懐から魔導縄を取り出して結界ごと縛るアネット。
その結界から徐々に魔力を吸うアネットが居る。
「兄さまもお優しいのね。私に回復魔法を唱えてくださるなんて」
魔導縄を刃の術で切断するライオネル。魔導縄の繊維が散る。
「ドレイン!」
そしてなんともう一回結界に向かってドレインを撃った。繊維が結界に付く。繊維を通してアネットに魔力が送られて行く。
ライオネルは獄炎術で魔導縄を燃やした。
「あら? 兄さま? お疲れのようですね?」
アネットは結界を厚くした。
「アシッドアロー!」
まるで矢のような魔導砲がバラキエルの鎌を襲う。
「その程度じゃ死神の鎌はびくともしないぞ!」
「ドレイン!」
そう、アネットの目的は鎌の物理的な弱体化ではない。鎌に含まれてる魔力を吸うことなのだ。酸が魔力を吸うことを促進してくれる。
「おのれえ!」
「兄さま! 落ち着いて!! 相手に載せられてますわ!」
シャーロットの声にはっとしたライオネルは攻撃を辞めた。
ライオネルもドレインを放ってきた。これに対し強力な波動で打ち消すアネット。
「元聖女をなめないでほしいわ。あ……落ちこぼれの聖女ですけどね」
膠着状態が続いた。しかしライオネルの結界は明らかに弱体化していた。
「附雷術!」
なんとアネットは手に持ってる杖に雷撃効果をつけた。
「直雷術!」
直撃するかのような雷撃魔法を放った。ライオネルの結界が割れた。それはライオネルの死を意味していた。
「結界が割れたから何だというのだ!? 我にはバラキエルの鎌がある!」
「直雷術!」
雷撃魔法はバラキエルの鎌も襲った。思わず鎌を落とすライオネル。アシッドアローの効果で雷のダメージが増幅されたのだ。
そのまま杖から氷魔矢を放つ。次々ライオネルの体に刺さる。
「これまで! 勝者アネット!」
ライオネルはまだどうにか生きていた。が……立てない。
「勝者アネットに選択を与える。ライオネルを生かすか? 殺すか?」
「答えは決まってますわ!」
アネットは何度も杖でライオネルの頭を……体を何度も叩く。
「痛いでしょ? この機会に人類が受けた痛みも思い知って?」
そういって懐からダガーを出すとアネットは何度もライオネルの首を刺した。ライオネルは絶命した。
「そこまでだアネット。これより15分の休憩に入る。ライオネルは炎で丁重に葬られる」
ベレトの声にはっとした。
時間を見る。二時間経っていた。狙い通りだ。
アネットは血だらけだった。
――魔女だ
――人形遣いの魔女だ
――厄災の使いだ!
観客は絶望的な空気に覆われた。




