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第十話

控室に食器の音がする。


「一杯食ったか?」


「食べた」


アネットはまたしてもステーキを平らげた。


「じゃあ回復魔法唱えるぞ」


フェルナンデスの回復魔法がアネットを癒す。何も物理的にダメージを食らってないはずなのにアネットの体にすっと傷んでる部分を癒す。


「ありがとう……」


「礼は相手に勝ってからだ。試合開始は13時半だ。要は15時まで引き延ばせ。最終戦を日没まで持ち越す。そうすれば最終戦は次の朝に再戦となる」


そう、ここは瘴空の世界。日没は早いのだ。


「引き延ばすというか、長時間戦ってやっと勝てる相手かも」


「そうか」


そういってハーブティーを注ぐ。


「先に言うが最後の俺が出て勝っても実質的には敗北だからな」


「ええ」


なぜフェルナンデスを最後にしたのか。簡単だ。そう簡単に元聖女は破られないと確信したからだ。


ただし、徹底的にアネットをサポートをすれば……である。これが逆になると婚約相手のフェルナンデスを失って絶望と混乱の中でアネットはいとも簡単に敗北するであろう。そこまでフェルナンデスは考えたのだ。


「精神力を回復するハーブを入れた紅茶は効いてるか?」


「うん、効いてる」


「じゃあこれを持っていけ」


魔導縄であった。


「さらに強化した。呪文を教える」


その魔導縄はとんでもないからくりのような縄だった。しかもミニサイズ。


「しまっておけ」


ありがとう。


「さ、肩も凝ってるでしょうからお嬢様……もんであげますよ」


フェルナンデスはそんなことまでしてくれるのか。それどころかふくらはぎまで揉んでくれた。


「少しは精神力が回復したか?」


「ありがとう。だいぶ回復したわ」


「じゃついにこれを出す時が来たな」


宝箱から取り出したのは聖女時代から使ってた魔導の杖であった。


「じゃ、残りの時間は寝ておこうか」


「えっ?」


「俺が起こす。精神力の回復のカギは睡眠だ。眠れなくとも目をつぶれ」


「あ……ありがとう」


そう、フェルナンデスの膝枕。夢にまで見た瞬間であった。


――守られてる


安心感からか……念願成就からか……アネットは眠ってしまった。


しばらくしてその声が響いた。


「これより第五戦を開始する! アネットは前へ!」


「ほら、アネット……起きろ」


本当に寝てしまった。


杖はずっと壁に掛けてあった。


「じゃ、行きます!」


アネットはいよいよ本戦に出る事となった。

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