表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/83

第六話

2人は控室に居た。


「この『アグリちゃん』ってのはある程度重労働出来るんだよな?」


フェルナンデスが問う。


「出来ると言っても所詮人形よ!」


「そうか、ならばこれ使え」


フェルナンデスが宝箱から取り出したものはなんと戦闘用の斧であった。


「女の子が斧……」


「『フォレストちゃん』は斧使ってただろ!」


「あれは木こり用よ! 戦闘用じゃないわ」


「大丈夫だ。操作してみろ」


すると何という軽さであろうか。操作してるアネットにも軽さが伝わる。


「な? 軽いだろ。それでいて斧の切れ味もなかなかだ。今度は魔導物質の武器で勝負だ」


試しに振って見ると練習用の木がスパッと切れた。


「すごい!」


「さ、たったの15分なんだ。急いで食べて! 休憩時間は短い。アネットも人形操術でエネルギーを相当消耗しただろ。エネルギーを補給して。これで結界を破る。力づくで」


(そうだった。でも私……太らないのかしら?)


そんなこと思ってる場合じゃなかった。アグリちゃんが敗れると次は自分が戦う場なのだ。アネットは急いでサンドイッチを食べて紅茶を飲む。


「この『アグリちゃん』には腰に剣を刺して置け。いざという時にだ。通常攻撃は斧にしろ。ちなみに重さの件もあって両手持ちだ。盾は結界が代わりだから両手持ちでも大丈夫だよな?」


「大丈夫よ」


「それとこれも差し込んでおく」


なんとフェルナンデスはアグリちゃんの肩に小さい盾を差し込んだ。


「時間だ! アネットとアグリちゃんは戦闘の場へ!」


四天王のベレトが声をかける。


「すみません、トイレ!」


アネットも人の子だ。緊張して腹がゆるくなってしまったのだ。


「早くしろ! あと3分だ! 遅刻は5分までだぞ! 出ないと失格でその人形は処分となる!」


四天王のベレトは少しあきれ顔だ。


アネットは時間ギリギリに登場した。


「両者、前へ! アネットは白い丸の線の内側へ!」


審判員のベレトがほっとした表情で声を発する。そう、失格者には処刑する義務が生じるのだ。


「これより第二戦を開始する! クロエ=ユーウェイン対アグリちゃん!」


そう、この決闘は勝利を続けるほど地獄なのである。つまり全勝しないかぎり初戦の者は高確率で死ぬ。


(父は死ぬつもりなんだろうか。ということは守りたいのは……長女!?)


「試合開始!」


「ほお、今度もでくのぼうか。さすが落ちこぼれ」


「それはどうかしら?」


なんとユーウェインが張った結界にひびが入っていく!!


「バカな!! だが爆発魔法で終わりだ」


しかしその爆発魔法でも人形はびくともしない。結界の力が増しているのだ。差し込んだ小さい盾は増幅装置だった。アルファちゃんでは重量の関係で載せる事の出来なかったものがアグリちゃんでは載せることが出来たのだ。ギリギリ。


その代わり人形が動く速度は遅くなったが。氷魔法、雷魔法。様々な魔法が襲い掛かる。闇魔法も食らった。だが硬くて重いアグリちゃんは何事もないかのようにすっと動き続ける。


アグリちゃんが斧を振るう。ユーウェインの周りにあった結界にさらにひびが入る。そして思いっきりアグリちゃんが横に斧を振る。結界が破れた!!そのままユーウェインの首が飛ぶ。試合開始わずか3分程度。あっという間の決着であった。


「勝利、アグリちゃん!」


ベレトの声に観客は静まり返った。クロエ家の絶叫だけが響き渡る。


これにアネットは無言だった。


(あんな親は親じゃない。私が知る親は死んだのよ。獣族になった時から)


元・家族の唖然とした姿を見てアネットは思わず凄惨な笑みを浮かべた。魔女そのものの姿であった。アネットはそんな自分の姿に気が付いていない。フェルナンデスですら声をかける事を躊躇った。


「死体処理班! この者を火葬場へ! これより15分の休憩に入る!」


ベレトの声はクロエ家に悲しむ時間などないと通告したに等かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ