第三話
「君たちの監視は我グレモリーが行う」
「わかった」
父であるクロエ=ユーウェインは即答した。
「この部屋はいつもは神官が使ってる部屋だ。大事に使えよ。この時点で明日の戦いの日まで部屋から出る事を禁止する。鎧、兜、その他武具。用意はいいな?」
「問題ありませんわ」
母であるクロエ=モルゴースが即答した。すると食事が運ばれてきた。
「彼らが監視する。聖浴は全員済ませるように」
「勿論です」
長女クロエ=シャーロットが答えた。
「次期聖女候補として恥じない戦いを頼む」
「はい」
長男クロエ=ライオネルは部屋をきょきょろ見てる。
「一応言うが脱走は極刑だぞ? 変なこと考えてないだろうな? クロエ=ライオネル」
「ありません」
「なら良いが……乱闘防止のためだ。両陣営は明日まで出られないぞ」
グレモリーは4人を見渡した。
「最悪、ここで敗れた場合ここに君たちの墓が立つ。覚悟のほどは良いな? 君たちが全員敗れた場合相続人はエレシュキガル様が指名した全く別の者が領地を引き継ぐ」
「「はい」」
「よし、速やかに食事を終えたら伝えてくれ。食器を回収する。遺書を書くのなら今のうちだ。ペンと紙は用意してある。それではよい食事を。明日の朝も食事を運ぶ」
机には紙とペンがあった。兵士が台車で食事を運ぶ。牛肉のステーキだ。じゃがいもやにんじんやブロッコリーもあった。獣族にとってそれはふるさとの味である。パンと紅茶もあった。
一旦グレモリーや兵士らは部屋を出た。
「いいか、お前ら。これが最後の晩餐とならぬよう頑張るのだ。相手は元聖女。かつてのアネットだとは思うなよ?」
クロエ=ユーウェインが家族全員に向かって言った。家族は誰も答えない。速やかに食事を済ませた後に終わったことを告げると兵士が食器を回収し台車で皿を運ぶ。
家族は全員がアネットを憎悪していたのと同時にアネットを畏れていた。全員が風呂に入ったのちに辞世の句を書いた。
「いいか? ちゃんと寝ろよ。眠れない場合は睡眠魔法をかける。本番の時に寝不足で力出せませんでした、じゃ困るからな」
◇◆◇◆
「よく寝たか?」
グレモリーの問いに全員がはっきり答えた。
「遺書は1名だけか?」
クロエ=シャーロットだけが書いていた。
「では朝食持ってくる。一応念のために言うが全部は食うなよ。試合に支障をきたす」
その朝食は茶会で使われるものと同じであった。だが4人とも無言であった。
食事を済ませると……人の気配が増えたのを感じ取った。
「いよいよね」
クロエ=シャーロットが震える。
「大丈夫だ。お前はしんがりだ。何もせずに今日は終わるだろう。俺を信じろ」
しかしクロエ=ライオネルの声は悲痛だった。
「クロエ家の4人よ! 決闘の場に出るのだ!」




