第三話
なぜ影裏族の居場所を突き止めたのか。
それは聖女の察知能力による。そうなのだ。単に結界を張る能力が倍になっただけではない。察知能力も2倍になったのだ。
そして城ごと増幅装置になってる場で察知呪文をとなるとどうなるか
――いくわよ! アネット!
――ええ、エレシュキガル!
2人の聖女は同時に察知呪文を唱えた。
するとどうであろう。空中に地図が出る。くまなく地下の都市も出るではないか。地図は自動的に紙に転写されて行く。地下都市の中には王宮もあった。
「ここから約700km先にこんなものがあろうとは」
マルコシアスが驚く。
旧王都の結界を張りなおしていく。行く手には幸いにもアッシュが張った水晶が応用できる。
まるで暗黒の世で遊んでいるかのよう。ピクニックであった。アッシュが張った水晶から道がそれるのは2日後で300kmあたり進んだ頃であった。
そこから先は未知の領域だった。
それにしてもこの豚肉や牛肉の山。たった2名の聖女はこれほどまでにエネルギーを必要するのかと。
そしてある日思いもよらない提案がエレシュキガルから来た。
「アネット、お茶会しませんか」
◆◇◆◇
昼なのに夜のような空でテントを張り両者が座る。ケーキスタンドにはスコーンもクッキーもある。
紅茶がじわっと温まる。
「気は早いのかもしれないけど、次の話があるの」
エレシュキガルから告げられた。
「貴方の父上、母上、兄妹から決闘依頼が来てるわ。引き受けるの?」
その答えは決まっていた。
「ええ、もちろん」
「それは聖女として行くの? 個人として行くの?」
「個人よ。聖女は国のトップだから勝手な行動は出来ないわ。というよりこの戦いが終わったら私……聖女を退位するの」
「そう。まあ……当然ね」
そういってエレシュキガルは決闘書なるものをアネットに渡す。
「1対4は卑怯だからちゃんと4対4で決着つけます。決着場所は例の神殿。旧王都のテンカロ神殿です」
「分かりました。ところで……」
沈黙が流れた。
「私達……聖女辞めたら一緒に友達になれるのかな」
その声にエレシュキガルはびっくりした。なんて子なの。私はこの子を心で傷つけようとしてるのに。
「出来ない……。だって私……貴方を食べちゃうかも」
「大丈夫よ、それは。今までこうやってグルニエ大陸を旅をしてきてるじゃない。苦楽を共にした仲間として共に歩みたい。旅行程度なら越境を認めてくれるよね」
アネットの言葉にエレシュキガルは衝撃を受けた。もうこの子をこれ以上傷つけたくない。なのに!
「出来うる限り努力する」
「ありがとう。この旅が終わったら私たぶんもう聖女じゃない。普通の学生に戻るの。その時、普通の学生として貴方とこうやって歩みたくて」
茶会は静かに時が進んだ。




