第四話
エレシュキガルに討伐隊の提案と再封印の提案を行った。エレシュキガルは同意した。
――おもしろいわね。あなた……人食いと同行するのね……。
水晶玉の向こうには三日月の笑みを浮かべる「魔王」が居た。
――もちろん承諾しましょう。私も聖女の後継者を探してから討伐隊に参加します。
そこで同行者が結成された。もちろんフェルナンデスとなった。
替わりに獣族の同行者は四天王の一人マルコシアスとなった。
まさに古代伝承の勇者ご一行である。
フェルナンデスもアネットも獣族と同行なんて気が気じゃない。しかしそんなことを気にしてる場合じゃないかった。ごく一部であるが領土の一部返還も魅力的だった。
フェルナンデスとアネットは休学届を出した。
休学届を出した後にフェルナンデスから重要な話があると言われた。
◆◇◆◇
グランダル亭に2人は着いた。
重苦しい空気が流れる。
「あの」 「あの」
2人は同時に声を発した。
「俺たち冒険で死ぬかもしれない。聖女の騎士になるってことは自分の身を生贄に捧げる事と同意。もしかしたら俺は勘当されるかもしれん」
(そこまで私のために……どうして?)
「そんな危険は犯さなくていいのよ。引き返すなら今のうち」
「ダメだ。仮に獣族が負けたらこんな都市国家、一瞬で吹き飛ぶぞ」
フェルナンデスの覚悟は本物だった。お前は死なせない。そんな思いが伝わる。
「これを受け取ってくれ」
なんとフェルナンデスは懐から小さな箱を取り出した。
「ロベルト=フェルナンデス、どこまでも聖女にお仕えいたします。お受け取りください」
それは婚約指輪だった。
「本当にいいのね。私、この冒険が終わったら聖女なんて辞めるつもりなのよ。ただの学生に戻っちゃう。もう引き返せないわよ?」
「構わない……君さえ居てくれたら」
それを聞くとアネットの頬から涙が伝わる。愛ってこう言うことを言うのだろうか。
「我、フォーサイトの聖女。貴殿を聖女の騎士に任命する」
アネットは指輪をはめた。もちろん承諾という意味である。
「冒険が終わっても……苦難の道よ?」
泣きながら指輪をはめる聖女。
「もちろんだ」
2人は周りの視線に気が付いた。
店の中の客全員が視線をそらした。
「聖女の騎士は正式に決まった。エレシュキガルに報告しようか」
「ええ」




