第二話
大学から徒歩10分のところにそれはあった。
「なにこれ?」
「地下鉄だ」
高層ビルが建設中の道には地下の入り口があった。
「はい、お嬢様乗りますよ」
改札は地下にあった。一律料金だった。銅硬貨1枚箱の中に入れると切符なるものが出てきた。挿入口に入れると切符が出てされてバーが下がった。カードを使う者もいる。
(本当に私は自分の国の事すらよく見てなかったのね)
アネットはほぼ生活圏が大学の中で完結していたのだ。世間の動きに疎くなってしまったのだ。
「あれは定期券だ。学生は学生定期券になる」
執務室に閉じこもり気味だったアネットはもう世間の動きが見えてなかったのだ。
2人はホームに降りた。
「このレールは獣族が作った鉄鋼だ」
「へえ」
ホームには学生らしき人物も見える。聖女、聖女!、人形姫だわ!の声が聞こえる。つまりやっぱりこの駅は大学最寄り駅なのだ。
「一応聞くけどセキュリティーは大丈夫よね? 一応私、ほら聖女だから」
「何のために俺が居るんだ?」
「ごめん」
時刻表もある。なんと5~10分おきに来るではないか。
――まもなく1番線に電車が参ります。白線の内側にお下がりください。
(ちゃんと自動放送が流れる。すごい!)
ものものしい音を立ててやってきたのは3両編成の物体。これもゴーレムを応用したものだ。ちゃんとドアも開くではないか。早速乗り込む。まあ、ゴーレムを応用したものだからそりゃ狭いか。それでもつり革があるのが驚きだけど。座席は片側にロングシートが4人掛けであった。ドアは2扉車だ。
――プー ドアが閉まります。ご注意ください
なんと発車ブザーまであるではないか。ブザーの後にドアが閉まるのだ。
本当に地下を石の塊が走っていく。
2駅先で2人は降りた。改札を出るときは切符が回収される。そして地上に出た。
「フォーサイトは都市国家だから地上に鉄道が作れなかったんだ」
着いた先はなんと遊園地であった。
「へえ」
そこは地上部分があまりない遊園地であった。プレイエリアの半分が地下なのだ。地上部分もビルになっており、一見遊園地に見えない。
「みんな俺たちの技術が作ったようなもんだ。じゃあ遊ぼうか」
※車庫だけ地上部にございます。




