第二話
模擬戦場でボロボロになったゴーレムが居た。
「アッシュ、どうしてそこまで強くなったんだ」
コルネルはなんども旗を折られていた。今日だけでなくもう6回戦全部敗北したのだ。
「僕は獣族の学校でいろいろ学んだから」
「そうか……ちょっと、一緒に来てくれ。まあお茶でも飲まないか」
「……いいけど変な真似はしないでよね」
「当たり前だ。俺はもうそういう卑怯な真似はしない」
◆◇◆◇
「勘当だって!?」
「そうだ。俺みたいな落ちこぼれは貴族籍をとっても無駄だと」
「どうするの。だって君は、ここゴーレム重工の」
「そうだ。聖女様だけでなく君にも負けるようじゃね。もういらない子って事なのさ。後継ぎは次男なんだろうさ」
「でも、ゴーレムは輸送用としても活躍するって」
「うちのオヤジは戦争の事しか考えてねえよ。武器商人さ。商業用や民生品はおまけ。クズなのさ。だから負けるたびに、戦争を反対するためにぶん殴られてた。馬鹿すぎる。勝てると思ってるんだ。この状態でだよ。俺は人類をこの大地から絶滅させたくない」
「そう」
長い沈黙が流れた。
「ねえ、これは1つの提案だけど……」
「なんだ」
「僕と一緒に交換留学しない?」
「なんだと……」
「よく考えてよ。なんであんな弱小の僕がこんなにゴーレム戦で強くなったって事を」
「そりゃそうだが」
「獣族はゴーレム自体は操れない。でも君は操れる。そこに獣族が持つ増幅魔法や超・上級魔法を手に入れたら。親も見直してくれるのではないかと思ってね。さすがにゴーレムは軍事機密だからここから持っていくことは出来ないけど。それで人類はこの大陸で絶滅を防いだんだしね」
「……お前、だましてないよな」
「だましてない」
「本当だな」
長い沈黙が流れた。
「お前に暴力振るって申し訳ない」
「ありがとう……」
長い沈黙が流れた。紅茶を飲む音以外何もしない。そこでアッシュが切り出した。
「ところで人形は操れるよね」
「もちろんだ。下位魔法だしな」
「僕一人じゃもう人形操るのもう限界だしね」
「人形操って何やってる」
「未開の地の探査さ」
コルネルはケーキスタンドにあるサンドイッチをかぶりついた。
「おもしれえ。もうこの地に俺の居場所はなさそうだ。差別を覚悟で行くか」
「勿論聖女様が許可するか分からないよ。それに相手の交換留学生が来るのかも」
「もちろんさ」




