~序~
人形姫が作った人形は一つの効果があった。
それは犯罪が激減したことである。なんたって「さーち君」と「れっく君」によって記録されてしまうのだ。あとから犯罪がばれて逮捕となる。
しかし、もう一つの効果、それは人形姫であり聖女アネットを恐怖するようになったことである。場合によっては画像を突き付けられること。ゆえにアネットは魔女とも言われてしまう。そうやってアネットは権力を維持していたのだ。アネットは無自覚に悪の力を持ち始めていた。「聖女」とはどういう意味なのかまだ分かっていないせいもあったのだが。人形の眼とはすなわちアネットの眼であり、人形の耳とはすなわちアネットの耳であった。アネットは、というより人類は千里眼の能力を得たに等しい。
高層ビル化の工事が進められる。
人類はこの大地で辛うじて生きていくことが出来たのだ。
高層マンションが出来るまで人類は客船から通勤通学となった。
もちろん人形工場もゴーレム工場もビルの中に移動。エレベーターで運ばれて組み立てとなる。完成品は1階から出荷となる。
マンションには自治会長、つまり村長にあたる人間も誕生したが民主的に投票で決まるようになった。したがって従来型の「村長」制度がこの大陸から消えた。
共有持ち分も大量に発生し、管理費も発生する。自分の持ち分だからと言って管理費を払わないと差し押さえになってしまうのだ。
高層マンションの低層階には居抜きの店も登場し「スーパー」が登場した。従来の市場の強化版、スーパーマーケットが誕生したのである。
人口密度が急激に上がったので渋滞も増えてしまった。アネットの課題が増えてしまった。




