第三話
――あいつがアッシュよ……
――獣族の瘴気を吸って獣族化するのかも
――こわーい
――ほらー、だって獣族になったギルバードとも仲よかったじゃなーい
――結局獣族と称した魔族なんじゃねえの。だってさー、聖職者や神学生って闇落ちしやすいって
「聞かなくていい」
「うん、フェルナンデスさん」
「お前もこうなる事分かって自分を犠牲にしたんだろ?」
「もちろんです」
「残念だが町の神父職への君の座は無くなってしまったようだ。引き受けてくれる教会が無い。国家試験受かっても。街の神父に行こうものなら助祭にもなれねえぞ」
助祭。それは神父になるための下積み期間である。
「国家のために犠牲になったんだ。君は修士課程に行っていきなり神父職に行くコースを用意してるのだそうだ。なんなら博士課程まで行って神学者になってここの学院の教授兼宗教教育主事になることも出来る。もちろん給付奨学金でな。下手すると枢機卿コースだ」
「僕は名誉とか出世欲でこんなことやってないから」
「それ聞いて安心したよ。全力で支えるから未来の事は安心しろ」
「はいっ!」
石が飛んできた。
――おい、魔族!
が、突然拳の音がした。呻き声がする。
「悪りいな、俺たちの教育がなってなくてさ。ゴミは片付けておいた」
「コルネル」
「俺も一緒に人形作りしてえんだがいいか?」
「ありがとう……」
そう、アッシュは「冬休み」の宿題として人形作りが課せられることになったのだ。代わりに高層建築物に必要な鉄骨を輸入する。
「それと俺もっと強くなりてえんだ。フェルナンデスさ、悪りいんだけどゴーレムの稽古付き合ってくれないかな」
「いいが、お前どうして?」
「何、俺は負けちゃったんだからさ。聖女様に。じゃー負けたらもっと強くならねえとな。それと勝者からいいとこ学んで強くなりたいんだ」




