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第二話

アッシュは文字通りアネットに水晶玉超しで人形制作方法を教えてもらう。

人形本体のみならず靴や服と言った人形サイズの作り方などなくてもいいような部分こそ実は大事ということを教えてもらった。単に見た目のために人形にこういったアクセサリーをつけるわけじゃないのだ。


こうして「さーち君」と「れっく君」が出来上がった。水晶玉超しで物が見ることが出来、音を録音できる。周りの学生が驚く。


しかし水晶玉からの距離はせいぜい5km~10kmである。それ以上は人形を遠隔操作できないのだ。


「うーん、これ中継地点作れないかな?」


髭をいじりながらミゲル教授は考える。


水晶玉に中継地点を置く。


やったことはないが魔法を伝導する機能を持つ魔導石を置いた。


すると……。


実証実験で30km超えても遠隔操作が可能になった。つまりこの方法なら人形が伝導魔導石を置いて捜査が可能になるということだ。


ずっと人形を動かせるわけじゃない。人形自体もどっかに休ませないといけない。


人形の起動・スリープは大学内で行った。しかも授業を受けた後に行うのだから大変だ。


人形はせいぜい15km/hぐらいで動くようだ。無理して操術者の健康を害してはいけない。


また嵐で人形がボロボロになる危険も出てきた。このため人形に鎧をつける。兜もだ。魔導石に傷がついたらさーち君の画像も傷がついたままになる。人形同士でリペアする必要も生じた。


人形の移動速度が遅すぎるという問題も出た。良質な魔導石に替えるとどうだろうか。なんと25km/h前後で出せるようになった。移動距離がまるで違う。


アッシュの日常はこんな感じだった。


獣族の食事は牛や豚の血を飲むこと以外人間とあまり変わらない。新たに得た領土から大量の農作物が届くようになった。


そして会話内容もほとんど人間と変わらなかった。拍子抜けした。


そして40日が経過した。小動物以外あまり脅威となるものはなかった。


なんと大陸が終わりに近づいていた。


海だ。画像には海が見える。さーち君のライトから海が映し出す。


「海だ」


「信じられん!」


「この大陸はやっぱり永久に続くものではなかった!」


この時アッシュは冬休みでいったん帰宅する義務が生じていた。つまり人形を動かせる者が居なくなるという意味だ。周りはみんな悔やんだ。しかし条約で締結した内容である。アッシュが帰郷してる間に送られてきた画像を解析することとした。


アッシュはマルコシアスと一緒に魔導陣で転移しカラン魔導学院に行き、そこから二人で国境のゲートまで来た。


「いったんお別れだ。寂しいな」


ゲートの向こうにはギルバードが居た。


「お疲れ」


「お疲れ」


2人はハイタッチしてそれぞれ別の方向に行った。

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