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第三話

「馬鹿者!」


「もうしわけございませぬ!」


マルコシアスが頭を下げる。


「水源地を奪還されただと? それでは籠城戦で勝利に持ち込めぬではないか!」


「もうしわけございませぬ!」


グレモリ―も頭を下げる。


「海からの攻撃もことごとく撃破されれただと。制海権を失っただと?」


「申し訳ございませぬ」


ベレトも頭を下げる。四天王全員アネットのゴーレムと後方支援で活躍する人形兵に敗北したのだ。仮にエレシュキガルの魔導無効呪文を唱えても効くのは持って5分。しかもゴーレムなどを地下に置いておけば効かない。2度目は通用しないという意味なのだ。


「申し上げにくいのですが」


「なんだ、グレモリー」


「ここは講和にもっていくべきではないかと。これ以上無駄に戦死者を出せば土地を奪還させられてしまいます。それでは元の木阿弥。我々はこのグルニエ大陸の99%も支配してるのです。もう十分ではないかと」


「制海権を失うと海から上陸される恐れも出ます。海賊による攻撃も痛いのです」


ベレトも講和を提案した。


「我々はフロンティア線を持っています。まだ西側の大陸の全容も解明出来てません。もし西側からなにかが脅威があれば東西挟まれてしまうのです」


そう、プルソンの言う通り何も人類だけがフロンティア線を持っているのではないのだ。


「今、一騎当千とでも言える者が獣族になろうとしています」


「ギルバートか」


「彼に講和条約の先頭に立たせるのはいかがでしょう。もうこれ以上の戦争は無意味だと」


「人肉はどうする?」


「それは……あきらめるしかないでしょう。あるいは死刑囚だけ寄越してもらうとか。そもそも元々獣族は人なんて食ってませんよ」


プルソンの言う通り本当は牛肉を食うのだ。儀式はあくまで敵に対して行うものだ。まあ……人の肉は獣族にとってなぜか強化物質ではあるのだが。


「エレシュキガル様。我々は勝利したのです。もう本懐も遂げたではありませんか。我々国民はもう疲れているのです」


「本領土のほかに99年を期限とした租借地を与えて彼らに食料自給率保証も与えましょう。まあ……租借地料はいただきますが」


「快進撃はここまでなのね」


「はい、エレシュキガル様」


「いっそのことギルバートを交換留学という形で戻すのはいかがでしょう? それでこのような殺し合いが消えるのかもしれません」


「さすがベレト」


「今ギルバートはどうなっていうのですか?」


「背中と額に瘤が出来てます。まもなく獣人になろうかと」


「ゴーレムを解体して魔導石も分析したのですね」


「はい……残念なことに獣族では動かせる代物ではありませんでした。これが動かすことが出来れば人類をこの大陸から殲滅出来たのですが」


グレモリ―は悔しそうに言う。


「講和の伝令は誰が?」


「エレシュキガル様が一番かと思われます」


「仕方ないですね。ではちょっとギルバートの様子を見に行きますか」


「ええ、彼ほど人間と獣人の心を同時に持った者はおりません。貴族ですし、虜囚の解放という意味も含めてかれほど適した人物はいないでしょう」


マルコシアスは断言した。


「条約締結場所はいかがいたしましょう?」


「それならカラン魔導学院でしょう。我々が新しい主である事を誇示するのです」


ベレトの意見に全員が納得した。


「ではその方向で動きましょう」

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