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第五話

 魔族から来た降伏勧告を無視した人類……降伏勧告を無視した結果いよいよ学院の近所で攻防戦が繰り広げられることとなった。降伏の条件は獣族になることであった。とうてい飲める条件ではなかった。


 戦いの幕が切って落とされた。


 「いったい今までの魔族の戦力はなんだったのか」というくらいに段違いの強さだった。統率の取れた軍隊。圧倒的な魔力。


 これに対し魔導学院側はようやくゴーレム鎧とでもいうべき魔導兵器で劣勢を食い止めた。


 そんな時である。


――辞めるのです。人の子よ。


――我はエレシュキガル。もう一人のソフィア2世


その声と同時に巨大な雷が魔導学院を直撃する。


――我は先代聖女ソフィアの隠し子エレシュキガル。その証拠を見せましょう


するとなんと巨大な魔法陣が魔導学院の直下に降りる、そして……。


――パリンッ!


なんと結界が割れてしまった!


そして魔導学院の直下へと魔族が降りてくる。


これに対し聖女ソフィアも結界を再度張ろうとする。


「無駄よ」


なんと魔導無効呪を唱えるではないか。


「うご……かない」


「ゴーレムが動かないぞ!」


そのすきに次々攻撃される人間族。


そして魔導学院の尖塔に魔族の旗が建てられる。占領に成功した。


聖女が捕らえられ……魔族軍のまえにひったてられた。


「おひさしぶりね。エリナス=メリオール」


「エリナス=プラティナさん」


「我をその名で呼ぶな!! 我の名はエレシュキガルだ!」


「ばかな!?」


「そんな!?」


生徒たちが驚く。無理もない。山羊の角以外聖女そっくりだからだ。


「人よ。どちらかを選択してほしい。我々と同じ獣族になるか、それとも死かだ」


マルコシアスが宣言する。


「「我らは勝ったぞ~~!!」」


「「太陽のもとで暮らせるのだ~!」」


「人よ、我らは悲惨な土地に押し込められても屈することはなかった。この不屈の精神こそ、勝因だ」


グレモリーは誇らしげに言った。


「死は最悪の屈辱です。獣族になることを受け入れましょう。貴方のように。生きてこそ希望があります」


聖女ソフィアはマルコシアスの問いにうつむきながら答えた。


「なんだって!?」


「俺は嫌だ~」


この聖女の答えを聞いたものは脱走する者もあらわれた。


「貴方は偽聖女として生贄となって処刑されます。よろしいですね」


エレシュキガルが嬉しそうに言う。


「はい」


その答えを聞くと枷と鎖を偽聖女にはめるようエレシュキガルは部下に命じた。


「それと貴方は今日から『偽聖女』と呼ばれるのよ」


エレシュキガルから狂笑いが響く。


「逃げられないよ」


誘導弾がマルコシアスの手から放たれる。魔族……いや獣族が残党狩りを始める。


「グレモリー」


「はっ!」


「しばらくの間魔導学院を抑えるのはあなたの役割です。私はこの偽聖女を生贄に捧げてから改めてここの校長となります」


人類は、敗北した。


第四章 終

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