第一話
学食は避難してきた貴族らの貴重な食事の場であった。まだこの状態になっても庶民は別の場所で食事をとっていたのだ。
その学食に2人もいた。
「君はいつから彼女の家族の事を知った?」
フェルナンデスが厳しく問う。グラタンの湯気がほのかに立つ。横には焼きたてのパンに紅茶もあった。
「ミムラ村だ。私の領土の隣にある。そこでも忌まわしい例の生贄話を聞いた」
ギルバートはしぶしぶ答えた。ギルバードはシチューとサラダをを頼んでいた。横には焼きたてのパンにコーヒーもあった。
「ミムラか」
「私は当初疑った。それは本当なのかと。そこで密偵を放った。噂は本当だった」
「君は気持ち悪いね」
フェルナンデスがパンを食べながら顔をしかめる。
「生き残るためなら何でもやるさ。まあ……政略結婚だしな。愛なんてなかった」
「ということは……」
「そう、わが家も汚染が広がっていた。なぜあんな人形姫と結婚したがってるのか理解できた」
(汚染……)
「君は見る目が無い。見たまえ、人形は後方支援でがんばってるではないか」
「言いにくいのだが……私はゴーレムの使い手だ。なおの事人形操術は嫌いだった」
ゴーレムは今必死に前線に出ようとしている。しかし爆発魔法で敵軍に撃破されまくっていた。つまりゴーレムは軍事的に役に立たないことが証明されてしまった。ゴーレムが有効なのは対中級魔法までなのだ。
「ふむ、君は彼女の事も分かってない上にゴーレムの事も分かってないようだ」
「ほお」
「あれを巨大な『鎧』にすればいいのだ」
「出来るはずがない。認証しなくてはいけない。人形の比じゃないんだぞ。そんな適合者なんてほとんどいない」
「私の理論が正しければ」
(?)
「ぬいぐるみ人形が認証しやすいのは綿を使って綿が神経の役割を果たしているからだ」
「そんなことは誰でも知っている」
「それをなんでゴーレムに応用しない」
「無理だ、ゴーレムは岩や泥なんだぞ」
「だから、岩に繊維をつけるのさ」
「時間の無駄だった。帰る」
「君は常識にとらわれる。だから婚約破棄なんて愚かなことをしたのだ。見たまえ」
フェルナンデスが懐から取り出したサンプルの物質。それは、ギルバードが見たことのない素材だった。
「ばかな! ありえない」
「ありえるんだな」
「石に……綿だと!? だとしてもどうやって適合させる」
※現在の建築基準では石綿は使用禁止です




