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4 プリンの能力

 そんな調子で、午前の授業が始まった。

一時間目は国語。オレはチイ子の席の机に乗り、一緒に教科書を見せてもらう。

でもこのポジションやと前のヤツの背中で黒板が全く見えんので、黒板を見る必要がある時は、チイ子にオレが乗った皿を持ち上げてもらい、黒板を(なが)める。

さらに先生に当てられて教科書を読まないといけない時は、チイ子が立ち上がって右手にオレが乗った皿を持ち、左手に教科書を持ち、それをオレが声を出して読む。

何てシュールな光景や・・・・・・。

しかもこういう時に限って、国語の先生(橋場(はしば)(よし)(たか)、男性、四十四歳。奥さんと中学生の息子が居る。最近の悩みは、息子の嫌いな科目が国語だという事を知り、ちょっとショックを受けている事)は嫌がらせのように三回もオレを当てるし。

 とまあ授業を受けるのも一苦労なこの体やけど、そんな中でも色々と発見する事があった。

その発見とは、次の様なものやった。


 発見その一、自力で体の向きを変える事ができる。

 急に回転する事はでけへんけど、ゆっくりなら体を回転させる事が出来る事に気付いた。

これでオレは真後ろに居るチイ子の表情も見る事ができるんや。

ちなみにこの体は柔らかいので、ある程度上を向いたり下を向いたりする事もできる。

メッチャしんどいけど。


 発見その二、自力で移動できる。

 ナメクジなみにゆっくりしか移動でけへんけど、皿の上をヌメ~っと移動できる事に気付いた。

おそらく底の平たい部分が、それこそナメクジみたいにウヨウヨと波打ち、ゆっくりと移動できるものと思われる。

ちなみにこれも結構しんどい。


 発見その三、プリンなのにサムイボ(鳥肌)が立つ。

 授業中、背後のチイ子がイタズラでオレの耳元(今は耳がないので、顔の横側と表現するのが正しいのかもしれない)にふぅ~っと息を吹きかけて来た時、オレのプリンの肌(?)にビッシリとサムイボが立った。

それを見てチイ子は口と腹を押さえてメッチャ笑いをこらえとった。

とりあえず、人間に戻ったらこいつをシバこうと思う。


 とまあこんな感じで、このプリンの体なりに色々な事ができるという事がわかった。

ただし、分かった所で何の役にも立たんのやけども・・・・・・。



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