第四章 オトハ視点 身近な『噂』
黄泉川駅の『黄泉川』。
それは大昔、あの世とこの世を繋ぐ川である事から、その名称で呼ばれていた。だから、まだ川が埋め立てられていない大昔にも、黄泉川駅周辺では、奇妙な事が起こっていたそう。
亡くなった筈の人が、家の戸を叩いていた。
木魚の音が一晩中続いた翌日の朝、町人の一人が命を落としていた。
大勢の人が船を使って川を降っている姿を目撃したけど、それはたった一人にしか分からなかった。
などなど、色々と自分でも調べていたけど、似ている様な話から、かなりぶっ飛んでいる話など、千差万別だった。
でも、問題はそれじゃない。その黄泉川は、私が生まれる前に埋め立てられてはいたけど、今でもその跡地では、心霊現象が絶えないんだとか。
私はこの街で生まれ育って、もう十六年にもなるけど、そんな話は初めて聞いた。
自分がオカルトに興味が全く無かったからなのか、それとも苦手分野から自分を遠ざけていたからなのか、でもこの際そんなのどうでもいい。
昨日の夜、友人達にSNSで情報を聞くと、友人の半数以上が、黄泉川駅周辺で、奇妙な現象に出くわしていた。
それより、私がそんなオカルトに興味を持った事に驚く友人達。その中の一人が、「アカウント乗っ取られたの?!」なんて心配する程。
若干ショックではあるけど、私自身、こんな事に首を突っ込む事なんて一生ないと思っていたから、今でも自分の考えが信じられていない。
話を戻すと、この情報にはまだ確証はないけど、黄泉川があった場所に、電車の道である線路が丁度重なっているとか。
それが原因なのかはまだ定かではないけど、黄泉川駅では、周辺よりも多く怪異が起こるそう。
私が黄泉川駅についてもっと情報を調べていると、『黄泉川駅の怪異』と添付されている特設サイトがあった。
そのサイトには、黄泉川駅で体験・・・したのかどうかは分からないけど、そういった不思議な現象が匿名で投稿されている。
かなり怪しげなサイトではあるけど、私が小耳に挟んだ、中学生達の噂話は、そのサイトにも載っていた。