詩あまのじゃく「欲しい空それは自由」
「欲しい空それは自由」
空が青いから
飛んで行きたい気がする
空が青いから
切り取りたいという思い
けれど切り取った空は
私の欲しい空じゃない
私が欲しい空は
自由な空
自由な青
雲のない空は
私の心を浮かせてくれる
でも、本当に心を浮かせてくれるのか
この地に足の着いた所から解き放って欲しい
逃げ出したい
私が逃げた所は
やっぱり、地に足の着いた所だった
制限のない自由は
地に足の着かない自由は
あまりにも無気力になりすぎて
やりたいことが見つからない
「月を隣で」
ああ月がきれいだ
この気持ち誰かと共有したい
月がきれいなのは事実
でも伝えられない
私の稚拙な言葉だけじゃ伝えられない
月を隣で見てくれる人がいるのなら
月がきれいだという気持ち
伝わるかもしれない
「かぎ」
みつからないかぎさがして
あめにぬれたころ
よるがきれいだった
くらいのにあたたかいいろ
やみがあたたかく
ひえたからだをつつんだ
「想い」
風は壁にぶつかってもっと強くなる
強くなって渦を巻く
渦の中心は何
あなた自身
箱に閉じ込められた風は
しだいに消えてしまった
箱に閉じ込められた私は考える
私は何が好きなんだろう
答えを捜したけど見つからない
そして
箱が開けられた
そこには人間がいた
私がもっとも好きなのは人間だと気付いた
気付いたらとめようもない感情が流れ出した
あとからあとから流れ出てくる尽きることない想い
尽きてしまったら私は人でなくなるだろう
人に好きという感情は必要だから
「月」
夜の空を仰げば
大きく綺麗な満月が見えた
手を伸ばせば届きそうなほど
手を伸ばしてみたけれど届かない
反対に月が遠いのを思い知らされて
淋しい
白く美しい光が眩いばかりに輝き
辺りを照らす
再び天を仰いだ
満月が見えた
手を伸ばしても届きそうにない
今度は手を伸ばさない
遠くに小さく見える月
近づきがたい気高さで
何をも寄せつけない
いつのまにか空に雲が
雲に見え隠れする月
雲を白い光で照らして
暖かく暖かく見つめる
暖かくも美しい月
「まどろみ」
木の葉のざわめきが青になり
空へ駆け抜けてゆく
雨のしずくに緑がうつり
木々のかおりを肌に感じる
「雨の音楽」
ぽつりぽつりと空から落ちて来た
傘はささない
雨に濡れたい気持ちがする
小粒の水滴が大粒の水滴になる
傘をひろげる
ぱたぱたとんとん
雨の音がする
大粒が傘に砕けて小粒になる
雨粒が海の伝言を届ける
波の音楽は届けないけど
水の音楽を届ける
傘から出した手に
雨があたって気持ちいい
水を空から地上に贈る音楽
雨の音楽
「オーロラ」
初めて見たオーロラはきれいだった
画面に映し出される動く絵
色が変わってゆく
お土産に選んだ小瓶に入ったオーロラ
小さなかわいいオーロラ
手の中で変わってゆく色
夜の空のカーテンとはいうけれど
流れ星の家だと思う
「船」
水しぶきをあげて船は動き出した
船は波に揺られながら動いて
ヴォーという汽笛が
見渡す限りの海が
水平線が
船に乗っていることを確認させる
潮の香りが気持ちいい
「夜空」
ひとつひとつの星が
きらめいてきらめいて私に信号を送る
きらめいてきらめいて私に語りかけてくる
ありがとう ありがとう
きもちいいよ この空
風が頬をなでて去ってゆく
風が語りかけて
私は答える
元気をくれてありがとう
「羽根が欲しい」
私は空を飛びたかった
鳥が飛ぶ姿を見て
私も羽根が欲しいと思った
風を受けて
風を感じて空を飛びたいって思っている
ある時
風は感じなかったけど
高跳びでの少しの浮遊感が
私に飛びたい気持ちをしらせた
「風は自由」
何もかもが窓から始まる
Window
風の通り道
風がとおる
風が私を呼ぶ
私は風に溶けた
私は風じゃない
風と私は離れた
風は閉じ込められない