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お嬢の美妙な冒険  作者: 安久谷クレージョ
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知の渇きの巻 その①


「ラミアさんは錯誤異物の研究をされているそうですね?」

「ええ、そうですわ」


 市長が屈むようにしてラミアの目を覗き込み、ラミアがそれに答える。


「では、今回この街に来られたのも、その錯誤異物が目的で?」

「その通りですわ。オークションに錯誤異物が出品されると聞きましたの」

「ほう……」


 意味ありげに目を細める市長。

 その様子を見たアルは、言葉にできないような嫌な予感がした。


「錯誤異物はいつどのような形で私たちの目の前に現れるか分かりません。古代の遺跡の中から発見されたというケースもあれば、道端で拾われたというケースもあるのですわ」

「それは興味深いですね。錯誤異物に関しては、私も文献を目にしたことがあります。人ならざる力を持ち主に与える魔法のアイテムだと」

「それゆえに、錯誤異物を巡った争いさえ起こりますのよ。ロメジ市長、単刀直入にお聞きしますわ。今回オークションに出品される錯誤異物は、いったいどのような方法で入手されたのですか?」

「……錯誤異物の入手先ですか? いや、私は市長ですからね。そういうことは分かりませんよ。オークションの管理者にお尋ねになった方が良いでしょう」

「ああ、そうでしたわね。失礼しましたわ。ところで、今回のオークションは市長も参加されるのですか?」


 市長は飲み物のカップを一口すすり、再び元の位置に戻した。


「我が街の誇る一大事業ですから、資金援助や多くの面で協力していますよ。しかし、純粋なオークションの客としては……しばらくしていませんねぇ。また時間が出来た時にはやってみたいものです」



※※※



 市長との面会は、そう長くかからずに終了した。

 面会室を出たラミアとアルの二人は、職員に促されるように庁舎を後にした。


「アル、何か言いたそうね」


 ラミアに促され、アルは少し考えるようにしながら口を開く。


「妙なのです、お嬢様。さっきの市長も、オークションの管理人も、何かを隠しているような気がしました」

「奇遇ね。私もそう感じましたわ」


 ラミアが足を止め、もう一度サーシャの町の庁舎を振り返った。


「…………」

「どうかなさいましたか、お嬢様?」

「宿に戻ったら聞かせてあげるわ。もしかすると、私たちが思っているよりものごとは複雑かもしれない」




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