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到着したのは
気のせいだろうか?
ほんの一瞬、体が宙に浮いたような気がして、
思わずレオンのシャツを掴んだ。
その瞬間、背中に回されたレオンの両腕に、
ギュっと強く抱きこまれてしまう。
「く、くるし、」
「はい、到着!
もう、目を開けて大丈夫だよ」
いやいや、開けるも何も、
あなたの胸に顔面押しつぶされて、
何も見えませんでしたから。
心の中でつっこみながら、その身を引きはがすと、
ようやくまともに息が吸えた。
「な、に、これ…?」
目の前に広がる景色はまるで、中世ヨーロッパの街並み。
映画のセットにでも紛れ込んだかのような、
不思議な感覚だった。
「城に直行じゃつまんないかと思ってね」
驚く樹里の隣で満足げに頷くレオン。
樹里はその場にへたり込みそうになるのを、
レオンの腕にしがみついてこらえていた。
「これが、『私の』世界…!」
「そうだよ、樹里が僕らにくれたんだ。
この命も、すべて」
目の前を行き交う人々は確かに生きていた。
この街で生きて、生活をしている。
そのすべてを、私が、こんな私が、
創ったっていうの…?




