王子様
今の、誰?
一体何がどうなってるの?
寝ぼけた頭を必死に回転させようとするけど、
なかなか難しい。
夢だったのかな?
でも、さっきの感触は…。
私の肩を掴んでいた手、
お母さんよりずっと大きかった。
「やっと起きたか。
樹里は朝弱いんだな。低血圧か?」
上から降ってくる甘い声に顔を上げると、
目の前で優しく微笑むのは、
さらさらとした銀髪ロングがよく似合う、
超絶イケメンで。
窓から射し込む朝日に目を細め、
気だるげに髪をかきあげる。
な、な、なんて色っぽい!
いわゆるそこら辺のイケメンとはわけが違う。
まるで、どっかの国の王子様みたいな。
そういえば着ている洋服も、どこか、日本人離れしている。
ぼんやり見とれている樹里の傍に、
王子様がゆっくり近づいてくる。
ベッドに片膝をつき、
きれいな顔をぐっと近づけると、
冷たい指で、その頬をそっと撫でた。
「樹里」
優しいその響きに、思わず息を呑む。
何だろう、この感じ。
初めてじゃないような、どこか懐かしい感覚。
それでいて胸の奥が締め付けられる。
どうして?知らない人なのに。
知らない人、―だよね?
「やっと、会えた」
王子様は、とても愛しい者を見つめるように、
樹里を見つめて、確かにそう言った。
やっと?
それって、どういう意味?
私達、初めましてじゃないの?




