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理由
ぼーっと見とれている場合じゃなかった。
気を取り直して樹里はベッドの上に正座し、
レオンに向き合った。
「昨日、アレクに言ってたこと、
本気なの?」
「ああ、聞かれちゃったんだったね」
なんてことないことのように、レオンはくすりと笑った。
「本当に戦争回避できるの?
私、けっこう強引に連れてこられたと思うんだけど、
それだけ自体が逼迫してるってことなんじゃないの?」
「樹里、顔がコワイよ」
「誰のせいだと思ってるの!
こうなったらもう、ちゃんと全部話して!
都合悪いことも全部!」
「そんなこと言っちゃっていいの?
聞いたらきっと引き返せなくなるよ?」
さっきまでの余裕のある笑みを消して、
レオンの声が真剣味を帯びる。
「それでも!
知りたいの!
助けたいのよ!
そのために私を迎えに来たんでしょう!?」
樹里の心からの言葉に、
レオンは嬉しそうな傷ついたような複雑な笑みをうかべた。
そうではないと否定しても、
今はきっと信じてはもらえないだろう。
とりあえず、
樹里がいてくれるなら、理由はなんでもかまわない。
この時は、そう思っていた。




