目覚め
「ん、眩しい…」
こんなすっきりした気分で朝を迎えるなんて、いつぶりだろうか?
正確にはもう、ほとんどお昼といっていい時間だったが。
気持ちのいい目覚めに大満足の樹里は、大きく伸びをしようとして、
右手が何かに拘束されていることに気づいた。
「ん?」
自分の右手が、大きな拳にしっかりと握られている。
腕をたどって上がっていった先には、神話に出てくる神様みたいな美形が、
椅子に腰かけてすやすやと眠っていた。
「レオン?」
いつのまに?いつからいるの?
「あ、起きた?
体調はどう?」
抵抗むなしく、しっかりと向かい合った顔が、
近づいてきたと思ったら、額をコツンと合わせる。
「お、下がったね」
そう言って微笑むレオンの優しい笑顔に、
樹里の心臓はどんどん心拍数を上げて行く。
「な、なんで?
なんでレオンがいるの!?」
「あー、朝食一緒にどうかと思って。
起こそうと思ったんだけど、つらそうだったから、
回復魔法かけてみた」
「うん?ああ、大丈夫みたい」
「よかったぁ。
もうお昼だね。
樹里の寝顔見てたら、ついボクも寝ちゃった」
あ、今、回復魔法、って言った!
ホントに、ここはそういう、いわゆる異世界ってことなんだ。
「あの、ありがとう。
すごく、元気になった気がする」
「どういたしまして」
窓から射し込む陽を受けて輝く銀色の髪が、
微笑みとともにさらりと流れ落ちる。
ああ、やばいな。
だって、そもそも自分好みの容姿、性格、なんだよ!
でもって、いきなりプロポーズって!
樹里が絆されそうになるのも無理はない。
そうはならないようにと、どんなに気を付けていたところで
この笑顔の前では、無駄な抵抗だった。




