新婚
アレクは自分の言いたいことだけ言うと、
いつのまにかいなくなっていた。
一人ぼっちの部屋に、
ごうっという風と共に、窓からレオンが飛び込んできた。
「ごめんね、さっきはびっくりさせて」
申し訳なさそうにうなだれているレオンを見て、
樹里はたまらない気持ちになった。
謝るのは、自分の方だって。
ずっと苦しめていたなんて、知らずに。
「さっきアレクから聞いたんだけど。
私のせいで、色々、その、なんて言ったらいいか…」
「アイツに何か言われた?」
「その、私のせいで、後継が…、」
「そんなことまで話したのか。
しょーがないやつだな。
アイツ、新婚だからさ、
周りに孫はまだか、まだかって催促されてるんだよ。
だからってこっちに振ってこないでよ」
「えぇっ!?
アレクが新婚さん!?」
「ああ、1年くらい前にね」
「うわぁ、先越されてちゃってるなぁ」
「ほんとにね。
毎日幸せオーラまき散らしてさぁ。
正直、うらやましいよ」
「うわぁ、意外!」
奥さんってどんな人なんだろ?
会ってみたいなぁ。
デレデレのアレクを想像すると、
ふふっと自然に笑いが込みあげてくる。
でも、レオンの言うように、
アレクが後継を催促されているとしても、
それってアレクだけの話なんだろうか?
アレクは言っていた。
最強の魔術師の血を引く者が必要だって。
それって、やっぱり…。




