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鈍感
「レオンって好きな人、いなかったのかな?」
「は?
どの口が言ってんの?
それもみんな、樹里のせいでしょ?
兄上の心を奪ったまま、
帰ってこなかった樹里のせいじゃん!」
頭をガンと殴られたような衝撃だった。
樹里自身、鈍感だという自覚はあったけれど、
ここまでとは。
「それって、
…ホントに待っててくれたってことだよね!?
こんなに長い間、ずっと」
さっきのレオンの喜び様が思い出されて、樹里の胸を締め付ける。
申し訳ないなんて言葉じゃ足りない、
例えば土下座したとしても、なんの償いにもならない。
「責任とってもらわないとね」
腕組みしたアレクが、逃がさないとでも言うように、
樹里をじっと見据えている。
「どうしよう、レオンに謝らなくちゃ。
私、何も知らなくて。
自分だけ、あっちの世界で、何事もなかったように」
その先は、言えない。
フツーに恋して、全て経験済みですなんて、
口が裂けても、言えるもんか!




