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呪い
「え、いやいや、ウソでしょ?
レオンって、今いくつ?
確か30過ぎてるよね?
さすがにありえないって…!」
アレクはこれ見よがしに、
はぁーっと盛大なため息をついた。
「もとはと言えば、
樹里が兄上にへんてこな呪いをかけたせいでしょ」
呆れているというよりは、
怒っていると言った方が近い。
口調は静かだが抑揚がなく、
それが却って、内に秘めた怒りを表しているようだ。
「呪い?私が?
そんな恐ろしいこと、するわけない!」
「あー、呪われてるのは兄上だけじゃなくて、
この世界全部、だった。
愛する人にしか欲情しない、できない、
ってのがこの世界のルール。
オレたち、そういうカラダなの。
それが樹里の望みだったんでしょ?」
浮気を繰り返す父親に、泣かされた母親を見て育ったせいで、
キスもその先も、生涯ただ一人、愛する人とだけ、
っていう理想みたいなのは、確かにあった。
当時の私は、親の離婚のゴタゴタと思春期が相まって、
どこか不安定で。
そんな理由で、実現不可能な自分の理想を、
この世界に押し付けてしまったんだろうか?




