勝負
「おっきくなったね、アレク」
5歳のアレクの面影を探すように、
目の前に立つ青年をじっと見つめる。
「…覚えてるの?オレのこと」
うわ、チョロっ!!
いや、こんな単純でいいのか、国王って。
樹里の一言で、みるみる眉間のしわはなくなり、
ぱーっと晴れやかな笑顔へと変わっていく。
「覚えてるに決まってるじゃん!」
そんな白々しい小芝居でも、
アレクの機嫌をとるには十分だったみたいで。
「国王って呼ばれてたけど、ホントなの?
すごいねー!」
「それは、負けたから、しょーがなく…」
語尾がごにょごにょと小さくなっていったけど、
今のは聞き間違いだよね?
国王って、そんなしょーがなくなるもんじゃ、ないでしょ。
同意を求めたくてレオンの方を見ると、
ぱっと目を逸らされた。
ん?なんで?
疑問に思った次の瞬間、
ある恐ろしい考えが、頭に浮かんだ。
いや、まさか、いくらなんでも、それはないでしょ?
レオンは第一王子、アレクは第二王子。
普通ならレオンが国王になるはずなのに、
アレクが国王になった。
なぜなら、勝負に負けたから。
アレクは、誰に負けたの?
ああ、せめて、その勝負、
じゃんけんとかじゃありませんように!




