国王様
「おまえ、ホントに樹里、なのか?」
はあ?
第一声がそれってどうなの?
しかめっ面でエラソーに、しかも呼び捨てって!
覚えてないかもしれないけど、
初対面じゃないんだよ、私達!
怒りでプルプル震えていると、
隣にいたレオンがすっと前に出て、恭しく膝をついた。
「これはこれは、国王様。
そんな怖い顔をなさらないでください。
ちょっと着地点を間違えてしまっただけですよ。
しかし、直々にお出迎え頂けるとは、
よほど、樹里に関心がおありなのですね?」
「こ、こく、国王…?」
なんで?第一王子はレオンのはずだよね?
私、昼ドラみたいな愛憎劇がイヤで、
この世界を一夫多妻制にはしなかったから、
妾の子とか、そういう権力争いも、
なかったはずなのに。
なんで、アレクが国王になってんの?
しかもこの若さで。
「ねぇ、あれ、ホントにアレクなの?
全然かわいくないんだけど」
そっと耳打ちすると、
レオンは堪えきれずに笑い出してしまった。
アレクはガマンできなかったのか、馬を降りると、
ずかずかとこっちへ歩いてくる。
「おい!
何こそこそ二人で話してんだよっ!
ズルイぞ!
オレがどれだけ心配したと思って、」
ん?
一気に発言に重みがなくなったような?
こちらを睨みつけてはいるが、
落ち着きなく視線をさまよわせている。
これは、ひょっとして…?
樹里はアレクに近づいて行き、真正面に立つと、
その顔をじっとのぞきこんだ。




