第二話 グループを作る
「諸君らは今日というこの日、晴れて王国の兵士と相成ったわけだ。それ即ち、己の身命が国王陛下の御身に帰依したことを意味する。よってこれより諸君らは、時に互いを守る壁となり、時に歩むべき道となろう。諸君らこそ、我が国の進むべき未来なのだ」
王宮内にある広場で上官であるカレオ・ラペルタの話を聞いているところだ。彼の話を要約すると、王宮の傷んだ壁を補修工事して、それが終わったら馬車道の道路工事に従事しなさい、ということだ。何かあっても命の保証はない、と。
戦時中の徴兵制と戦後三十年経過した現在の徴兵制では中身が異なっている。農家の息子たちに剣術を仕込むのは反乱のリスクが高いから、現在は剣術の練習などに時間を割かないとのことだ。
歴史の教科書では国王が順風満帆に国を統治していたことしか書かれていないが、実際は武装隆起した農民が王朝に反旗を翻し、領土問題から二国間戦争になった話は伝聞として現在まで残っているので、その予防対策としての徴兵制でもあるのだろう。
王国が求めているのは公共事業に無償で従事する者であって、剣術や槍に長けた兵士ではないのだ。これを現代に残る奴隷制度だと主張する学者もいるが、俺としては公共事業を人任せにするよりはマシだと思うので、そこまで批判する気にはなれなかった。
道路の整備・橋の建設・河川の管理は国の三大事業とも呼ばれていて、どれも現代の生活にはなくてはならない仕事である。俺の家は牧場だけではなく畑仕事もしているので、灌漑用水や物流の観点からも他人事とは言えないのだ。
大昔は雨乞いのために生贄を捧げていたとか嘘か真か分からないような話があるが、そんな時代に比べれば公共事業として全員で負担する現在のやり方は悪くないと思う。というよりも、これより他に良い方法など簡単に思いつきそうにないというのが現実だ。
それでも平和な時代が長く続いて豊かな社会を継続することができたら、公共事業ですら利権にまみれる日が来るという。そう語るのはケンタスだが、彼が語る未来予想は理解できない話がほとんどだった。
「諸君らは不死鳥となって戦うのだ」
カレオ・ラペルタ教官の話は続いていた。ちなみに不死鳥というのは国を統治しているフェニックス家の家紋であり、国旗にもデザインされている聖なる鳥のことである。伝説上の生き物だが、これは海外諸国にも似たような話があるのだそうだ。
「倒れても倒れても、何度でも何度でも、蘇るであろう。各地を飛び回り、不死鳥のごとく羽ばたくのだ。迷うことはない。諸君らの目指す場所にはフェニックス家の御旗がたなびいておる。旅立ちを恐れる必要はないのだ」
この話を要約すると、とにかく休まず働け、ということだ。さらに、僻地に飛ばされても文句を言うな、と。もしも逃げても全国に監視の目があるから逃げきれないぞ、ということを暗示しているのである。
脱走兵の話は聞いたことがあるが、実際のところはよく分からない。王国の兵士だから食うに困らない保証があるのは確かで、そんな恵まれた環境からわざわざ脱出を図るというのは、よほど特別な事情を抱えている者だけだろう。
とはいえ、僻地には脱走したくなるくらい辛い仕事があるのも確かだ。徴兵期間中に罪を犯した者が飛ばされて、そこで過酷な労働を強いられるわけだ。罪人だけではなく、出世から下ろしたい人に命令が下ることもあり、左遷を島流しと混同する人もいるくらいだ。
新兵の俺には無縁の話だが、ケンタスの七つ上の兄貴の赴任先が、ちょうどそんな場所である。敵国だった領土の旧都に飛ばされたらしいが、現在は荒廃しているという話だ。そこで失敗すれば、いよいよ出世から見放されてしまうというわけである。
「諸君らには、これより一週間の内に二人の同志を見つけてもらいたい」
カレオ・ラペルタ教官の話は続いていた。これはどういうことかというと、広場に整列している約五百人の中から三人組のグループを作るように、ということだ。自分たちで決めさせるのも俺たちが観察対象だからだろう。そこも査定の範囲なのだ。
「共に戦い、共に励まし、共に守り抜く。三人の同志は、これより一人の兵士となるのだ。一つの部屋で生活し、寝食を共にすることで、己を思う気持ちと同等の感情を持つことになるだろう。諸君らは、一人であって一人ではない。もしも一人が挫けても、他の二人が代わりの手となり足となる。さすれば、どんな困難な問題であろうとも、乗り越えられない壁などなくなるであろう。諸君らには是非とも我が身と思える同志と巡り合ってほしい!」
これも要約すると、三人は連帯責任で結ばれているから互いを監視し続けろ、ということだ。一人の失敗はその者だけではなく他の二人にも及ぶのだ、と。もしも問題を起こしたら、そのグループには条件の悪い仕事が回ってくるぞ、という警告でもある。
このやり方は仕方がないことだろう。一度に五百人も新兵が集まったのだ。離村での徴税も連帯責任を伴う連座制を適用しているし、不特定多数の集団をまとめようと思うと、そうせざるを得ないというわけだ。
しかし、難題であることには変わらない。俺とケンタスで二人は揃っているが、三人目を見つけるのは悩ましいところだ。城壁内に住む顔馴染は既にトリオを結成しており、ペアを組んでいる者も、俺たち同様にバラバラになるのを避けているからだ。
三人目を初対面の中から見つけなければならないが、これも早めに探さなければ、良さそうな人を先に取られてしまうことになる。そもそも、その良さそうな人とは一体どのような人物なのだろうか?
事前にトリオを結成しなければならないと知っていたのに、これでは前もって知っていた意味がない。その不満をケンタスにぶつけたこともあるのだが、彼はいつも通りのんびりするばかりだった。その様子を見て、俺は余計に焦ってしまうのである。
「ケンよ、どうするんだ?」
カレオ・ラペルタ教官から解放されて、俺たちは壁に背中を預けて広場を眺めているところだ。積極的に声を掛ける者や、声を掛けられるのを一人で待っている者もいる。今のところは、俺たちのように様子を見ている者の方が多いだろうか。
「どうするって、まだ一週間もあるだろう?」
コイツは何も分かっていないようだ。
「いやいや、俺たちには一週間しかないんだよ。それにこうしている間にも、どんどん決まっていくんだぞ? 五百人の中から選ぶとなったら優秀な奴や性格の良さそう奴から選ばれるに決まってるんだ。そうなったら余りものみたいな奴しか残らないじゃないか。問題を起こすような奴しか残らなかったらどうすんだ?」
ケンタスが怖い顔をした。
「いや、その考え方は違うな。オレたちがペアを組んでいる時点でトリオを結成する前から二対一の構図ができ上がってるんだ。異なる意見を持っていても、オレたちの決定に従わないといけないかもしれないだろう? そんなの誰が好き好んで仲間になりたがるんだ。こちらは選べる立場じゃないんだ。そんな立ち位置では一緒に行動することなんて出来ないよ。どちらかというと、オレたちのことを受け入れてくれる人を見つけないといけないんだ。こちらからお願いして快く了承してくれる人と仲間になろう。そうじゃないと、オレたちの方が余りものになる可能性の方が高いからな。これから最低でも十年は一緒に行動しないといけないんだ。それを一週間で決めるというのも問題だが、一日で決めるのは論外だ。なに、そんなに慌てなくても簡単には決まらないさ。くっついたり離れたりしながら絞られていくんだ。それまでじっくり観察しよう。それにはオレたちのことも知ってもらわないといけないからな」
こういうのはケンタスに任せた方が良さそうだ。俺だとどうしても打算が働いてしまうからだ。商売のパートナーを見つけるにはいいかもしれないが、徴兵期間に戦争が始まったら命を預けなければいけないこともある。
そんなことを想定すると、何をどう考えていいのか分からなくなる。とにかく腕っぷしに自信がありそうな奴がいいのか、足手まといにならないような、とにかく逃げ足の速い奴がいいのか、はたまた……。
「なぁ、ケンよ、『選べる立場じゃない』といっても基準はあるんだろう?」
「そんなものはないよ」
と言いつつ、ケンタスは何やら思い至ったようだ。
「あっ、強いて言うならペガのような人は二人もいらないな」
「へぇ、俺のようなって?」
気になる話だ。
「うん。おしゃべりで、しかも口が悪くて、愚痴っぽく、すぐに腹を立て、いつまでも根に持ち、自分のことを棚に上げて他人を批判して、そのくせ自分が批判されるとウジウジするような男のことさ」
とケンタスは涼しい顔をして言ってのけた。残念だが全部当たっているのが悔しかった。これが俺に対するケンの印象である。ちなみに俺のケンに対する印象は、それらを全部反対にしたような人のことだ。
ケンタスが続ける。
「でも、それ以外はペガと同じ心を持っていてほしいな。オレは常に感謝しているんだ。畑仕事でクタクタなのに、毎日剣術の稽古に付き合ってくれただろう? そこまでしてくれる人はこの世にいないよ。王宮に忍び込んで探検した時も断らなかったもんな。また、そのことを誰にも言わなかった。得意がって自慢してもおかしくないのに、秘密にしようと誓ったら、本当に秘密のままになるんだ。兄貴が上級職の試験をパスした時には、オレの周りには多くの人がいたけど、兄貴が出世コースから外れた途端に誰も話し掛けてこなくなった。そんな中、ペガだけが態度を一切変えなかったからな。そういうのは、なかなかできることじゃないよ」
ありがたい言葉だ。俺は単純にケンタスと一緒にいるのが楽しいからそうしているだけだ。町の子どもはビビッて王宮の探検なんて思いつきやしない。そんな奴らに楽しい話を聞かせたくないだけだ。
畑仕事が大変なのはケンタスの方だ。俺の家は人手が充分なので、身内だけでやってるケンの方こそ身体がクタクタのはずだ。それでも仇討ちでもするかのように剣術の鍛錬を怠らなかった。俺は一日でも付き合わない日があれば置いてかれると思ったまでだ。
ケンタスの兄貴は、俺たちにとっての英雄だ。出世コースから外れようが、そんなことで気持ちが変わるはずがない。なんたって、戦時中ならいざ知らず、戦後初めて農家出身の兵士が上級職の試験をパスしたのだ。そんな人を悪く思えるはずがなかった。
「一番いいのは、ケンの兄ちゃんみたいな人がいてくれるといいんだがな」
そう言うと、ケンタスは嬉しそうに頷いた。この男は本当に兄貴のことが好きなのだ。幼い頃から剣術に興味を持ったのも兄貴の影響だし、毎日欠かさず稽古をするのも兄貴の教えを忠実に守っているからだ。
そこへ怒鳴り声が聞こえてきた。
「つべこべ言ってないで、さっさと持ち場へ行けよ!」
「なぜ、そんなこと、お前に命令されないといけない」
何やら広場の中央が騒がしいことになっている。
どうやら新兵同士で言い争っているようだ。
どんどん周りの者も集まって行く。
俺たちも様子を見に行くことにした。
「グズグズしているお前たちが悪いんだろうが!」
「なに言ってる。グループを作る期限は一週間だ」
名前の知らない新兵二人が口喧嘩していた。
「仲間を作るのに一週間も掛かるノロマだから言ってんだろ」
そこで周りから笑いが起こった。
「俺たちはもう仲間を見つけてんだ。そんな簡単なこともできないようだから、仕事をしろって言ってんだろう?」
大男が反論する。
「グループ作りと炊事当番は何も関係ないはずだ」
小柄な男が半笑いで説明する。
「お前はそんな頭だから仲間の一人も見つけられないんだ。いいか? これは俺の善意で進言しているんだぞ。それを勘違いしてもらったら困るな。そうじゃなきゃ、わざわざお前たちに話し掛けるわけがないだろう。炊事場に入れる者の数には限度がある。だったら仲間を見つけられない者同士で作業をしながら探せばいいじゃないか。お前たちのような者は、そういうことを指示してやらないと、グループすら自分で決めることができないんだからな」
完全にこのリーダー格の小柄な男が場を掌握してしまったようだ。
「おい! みんなもよく聞け! グループが決まらない者は今すぐ炊事場に行くんだ。そこで俺たちの食事を用意してもらう。ペアは決まっているが、まだ三人目を見つけられない者にも食事の後片付けくらいはしてもらうぞ」
そこで小男が手を広げながら身体を一周させた。
「俺の名はカレオ・ラペルタ陣営隊長の息子、カニス・ラペルタだ。トリオを結成した者は俺に直接報告してくれ。早い者から順番に雑務を免除するものとする。もしこれを拒否すれば、集団行動に協力的ではないと判断させてもらおう。文句があれば受け付けるが、名前は控えさせてもらうからな。それでもいいなら聞いてやろう」
同い年の新兵だというのに、初日からいきなり上官気取りである。戦争を知らない軍閥の二世か三世という、俺がこの世で一番嫌いな職種というか、種族である。こいつらほど性質の悪い輩はいないからだ。
しかし、そんなカニスの元に気持ち悪い笑顔を浮かべた奴らが群がっているというのが現実だ。軍閥の息子には逆らってはいけないということは、我が国で暮らす親なら誰もが子どもに叩き込むことなので、俺も内心では焦る気持ちに複雑な感情を抱いていた。
「おい、なに突っ立ってるんだよ」
カニスが身体の大きな男を見上げていた。体格は劣るが怯むことなく、反対に相手を威圧するかのように睨みつけるのだった。子どもの頃から歯向かう者はおらず、大人ですら彼にひれ伏してきたのだろう。そうじゃなきゃ出来ない態度だ。
丸刈り頭の大男の方はさっきまでずっとカニスと言い争いをしていた奴だ。見た目で分かるが、おそらく亡国の北方部族か、または南方移民の血を引く混血児なのだろう。だから軍閥貴族の怖さを理解できないのだ。
「お前、名前は何ていうんだ?」
「へルクス・ボボ・ホロンギュウムだ」
「ボボだってよ」
と言って、カニスは大笑いした。それに釣られて今やすっかりカニス派となった周りの新兵たちもバカ笑いするのだった。ちなみにボボというのは典型的な部族民の名前である。それに南方民族の名前を併せているので、やはり混血児なのだろう。
カニスが笑いながら続ける。
「ハハッ、そうか、ボボだったか。ボボなら仕方ないよ。俺たちと同じ言葉が話せるだけでも上等じゃないか。すごい進歩だぞ。混血なら俺の言葉の意味が通じなくても仕方ないや。いや、これは無理を頼んだ俺が悪かったな。よし、ボボよ。お前は特別に炊事を免除してやるよ。おっと、免除なんて言葉は難しすぎるよな? うん、これからお前は何もしなくていいや。毒を盛られてはかなわんからな」
北方部族や南方移民が差別されているのは隠しようのない事実だ。そのことを言及せずに、はじめからないものとして一生を終えることも可能だが、流石に目の前で起こっている現実から目を逸らすことなど、俺には出来なかった。
だからといって、何が出来るわけでもないというのが、俺の情けないところだ。君子危うきに近寄らず、なんて身分違いである貴族社会の言葉を自分に当てはめてしまう始末だ。自分を高いところにいる人間だと思い込むことで問題から逃げようとしているのである。
「カニスと言ったな? 口を閉じれよ、このバカ息子」
これは俺が言ったわけじゃない……。
こんなこと言えるはずがない。
貴族に喧嘩を売る方が大バカだ。
その大バカ野郎とは、俺の友達であるケンタスだった。
「それ以上の侮辱は、このオレが許さんぞ?」
そう言うと、ケンタスはボボとカニスの間に割って入った。事態を放っておけないのは分かるが、そこで実際に口を挟んでしまうのがケンという男だった。普段は大人しいのに、人がなじられているのを見ているのは我慢できないのである。
「俺のことを知ってて口を利いてるのか?」
当然カニスは怯まなかった。
「だとしたら、お前も相当頭が弱いと見えるな。許さんと言われて、この俺が許しを請うとでも思ったか? お前ごときに何ができるというのだ。聞き逃したのだろうが、俺はカレオ・ラペルタの息子カニス・ラペルタだ。父上については『教官』と言った方が分かりやすいかな? それでお前の名前は?」
周りの全員が二人に注目している。
「ケンタス・キルギアス。それ以外の何者でもない男だ」
ケンが名乗ると周囲がどよめいた。
「キルギアス?」
カニスはすぐに思い当たったようだ。
「そうか、お前がドラコ・キルギアスの弟か。どうしてお前がこんなところにいるんだ? 確か愚兄は罪人として捕まったんじゃなかったか? 軍を裏切った罪人の弟が王国の兵士になるなんておかしいじゃないか」
ドラコは罪人というわけではない。
「兄貴は今でも王国の兵士だ」
カニスがニヤけ顔で続ける。
「ああ、左遷で済んだということか。どちらにせよ、もう終わった男の話だな。次はお前の番というわけか。早速首を突っ込んだところを見ると、お前が僻地に飛ばされるのも時間の問題のようだな。だが、今日のところは初日ということで見逃してやろう」
「何を見逃すというのだ?」
ケンタスよ、それ以上は止めておけ。
「非礼を詫びるのはお前の方じゃないのか?」
それを聞いたカニスがニヤニヤしている。
「愚兄のドラコも変わり者だったらしいが、やはり兄弟とは似るものだな。今日のところは勘弁してやると言ったんだ。だから大人しく炊事場へ行くんだな。これ以上、お前に構っている暇はないんだよ」
ケンタスが突っかかる。
「なぜオレが炊事場に?」
「まだトリオを結成していないんだろう? だったら炊事の当番をするのが、たった今決まった、ここの新しいルールだからだ」
「仲間ならいるさ」
そう言ってケンタスは、他人の振りをしていた俺の腕を引っ張った。
カニスが頷く。
「ペアの段階なら後片付けだけでいい。それもルールだからな」
「三人目もいるよ。オレはこの男と組む」
ケンタスがボボを指名した。
「いいだろう?」
その言葉に、ボボは黙って頷いた。
それを見ていたカニスが大笑いした。
「頭の悪い混血と、間抜け顔のブ男と、僻地に送られた罪人の弟か。それじゃあ完全にスパイじゃないか。いや、お前たち三人は最高の組み合わせだよ。どうせ最後まで余っただろうからな、早めに決まって良かったんじゃないか」
カニスの言葉に周囲の者が大笑いするのだった。
「断っておくが」
またケンタスが余計なことを言うつもりだ。
「オレたちはトリオを結成したが、炊事の仕事はきっちりさせてもらうぞ。なぜなら、お前なんかが作った勝手なルールに従いたくないからな。お前たちは作ってもらった料理に毒が入ってないか、ビクビクしながら食べればいいんだ」
そう言うと、ケンタスはボボを連れて炊事場へと歩き出した。非常に気まずい雰囲気の中、俺もその後についていくしかなかったのが、後ろを振り返った時、カニス・ラペルタが俺たちのことをいつまでも睨んでいたのが怖くて堪らなかった。