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忌み子と彗星  作者: ずおさん
第三章:失われし伝承
66/92

番外 恋人の日ネタ 私は知っている

6/12 は恋人の日ということで、掌編を。

時系列としては、アレクシアとヴァイス、二人で旅をしている「第四十五話 障りと先触れ」あたりの話です。

――私は知っている。


ヴァイスはいつも朝が早いのだ。それもとても。

誰よりも早く起きる。

そして私は肌寒くて目を覚ます。


起きたらまず、野営地周辺の見回りをしてくれる。ま、お手洗いのついでかもしれないけれど。

次に準備運動代わりに、ウサギなんかを捕まえてきてくれる。運動のついでって本人は言っているけれど。


そして毛づくろいを始める。いつも念入りにしている。

ひとしきり終わったら、再び寝床に戻ってくる。


――私のところに戻ってくる。


最近はすっかり彼が毛布兼、枕だ。

私を起こさないように気を使っているのか、そおっと腰を下ろし、私を包み込んでくれる。

ぬくもりを求めて私は彼の身体に腕を回す。

頭をぐしぐし押し付けて、しっかり抱き寄せる。


違うか。


彼のとても大きな体に抱きすくめられる。

あたたかい。ぽかぽかのおひさまの下の、原っぱのような香り。そんな中に、少しゾクッとする狼の臭い。


今日はもう少し寝かせてね?



二人旅になってから、彼は私を決して起こさない。

どうして? って尋ねても「お前がそうしたいからだろ」って。


あなたはどうなのよ、って聞いても「うるさい」っていってしらんぷり。

しつこく尋ねたら、ようやく観念したようにつぶやいた。


「俺も……そうしたいからだ」


ええ、もちろん。知ってたよ。

私のこと、大好きだもんね、君。


「うるさい」


……ね、ヴァイス。今日は――さぼっちゃおうか?


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