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七瀬くんお元気ですか?  作者: 柴犬男
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一ノ瀬 紗奈の失墜 2

今の所はみんな正常です。

4月 17日


「真央君、早く起きなよ〜」

「うん・・・・」


幼馴染の『二宮 円香』が身体を大きく揺する。

やめなさい、僕はまだ眠いのです。


「真央君、起きるのだるい? 」


うん、すげぇ眠い。


「う〜ん・・・・しょうがないか」


お? 諦めたかな??


「火傷したらごめんね? 」

「・・・・は? 」


ジュゥーーーーーーッ!!!!


枕元に熱したフライパンが押し付けられた。


「あっぶねぇぇぇえっ!? 」

「あ、起きた! 」

「いやいやいやいやっ! ま、まどかちゃんっ、何してんのっ!?」

「だって、あんまりに起きないから・・・・」


えぇ、何この娘。

発想が怖過ぎるよ。


「全く、顔に消えない傷が出来る所だったよ」

「キスマークみたいで素敵!! 」

「え、マジで言ってんの? 」


円香はすっと目を逸らして口笛を吹き始めた。

この娘には後でしっかり言い聞かせた方がいいな、うん。


☆☆☆


食事を終えると、1人足りない事に気付く。


「そう言えば、咲は? 」

「咲ちゃんなら早く起きて朝練に行ったよ」


七瀬(ななせ) (さき)』。僕の可愛い妹だ。

高校生になり、陸上部に入った咲は部活に励んでいるらしい。

なんか、憧れの人が出来たらしいし。


「ほら、真央君。ハンカチとちり紙は持った? 」


妹の成長について寂しく思っていると、円香からいつもの質問が来た。


「心配しなくても、ちゃんと持ってるよ」

「ほんとに? 真央君すぐ忘れ物するからな〜・・・・。昨日だって、体操服とジャージ、学校に忘れて来てたでしょ?? 」

「うっ・・・・」


そうなのだ。

ここ最近、僕は忘れ物が多くなってきている。

その所為で円香に毎朝怒られている。

うん、もう少ししっかりしないと。


「この前も箸を無くしてくるし、ちょっと心配だよ」

「いや、ごめんって。今日からはちゃんと気を付けるからさ。」

「昨日からもちゃんとして欲しい」

「すまない。・・・・って、もうこんな時間か。早く行こう」

「う、うん」


少し話し過ぎてしまったので、僕達は駆け足で学校へと向かった。


☆☆☆


「お〜、真央。今日も夫婦同伴出勤か〜?? 」


教室に入ると、クラスメイトの優太がニヤニヤとしながら話しかけてきた。

急に言われて驚いたのか、円香は顔を真っ赤にしながら「夫婦・・・・夫婦・・・・♡」と呟いていた。

お前の夢、『お嫁さん』だもんな。


「お、円香ちゃん満更でもない感じなの? 挙式はいつですか〜?? 」

「や、やだもうっ! 気が早いよ〜っ!! 」

「ぐぇっ!? 」


照れ隠しなのか、円香が優太に向かってボディブローをキメた。

すげぇな、腰の入った良いパンチだ。


「うふふ♪ 」


そのまま、円香は自分の席へと歩いて行ってしまった。


「お〜い、大丈夫か〜?? 」

「いや、無理、ちょっと待って、しばらく上手く呼吸が出来なかった。」

「そっか、がんばれ。」

「え? それだけ?? 」


大丈夫だ、優太。お前の事は忘れない。


「えっと、何やってんだお前ら?? 」

「「あ、佑」」


話しかけてきたのは『浜野(はまの) (たすく)』。

人当たりもよく、爽やかなイケメンと言った感じで女子からも人気のある男子生徒だ。


うん、なんと言うか・・・・


「ムカつくな、お前」

「え、なんで突然ディスられたの俺? 」

「気にしないで」

「そ、そうか? まぁ、お前がそれでいいなら別にいいけど・・・・」


そうゆう所なんだよなぁーーーーッ!!

そうゆう所がモテるんだよなぁーーーーッ!!!!


「真央、今日なんかおかしいぞ? 」

「いつもの事じゃね?? 」

「優太絶対許さない」


僕達は元々、席が近い事で仲良くなった。

まぁ、と言っても、話す事は学校での可愛い女の子や、週末の遊びの約束ぐらいだ。


「なぁなぁ、今朝も『一ノ瀬さん』が呼び出されてたらしいぜ!! 」

「へぇ〜、やっぱりモテるんだねぇ」


『一ノ(いちのせ) 紗奈(さな)

成績優秀で運動神経も抜群。おまけに美人な人格者。

それ故に入学してからほぼ毎日男子生徒から告白されているらしい。


「一ノ瀬さん、今日こそ告白OKするかな? 」

「お、真央も気になるのか? 」

「そりゃ、まぁ・・・・」


あんな美人と付き合う男がどんな奴か、すげぇ気になるもん。


「良いよなぁ、俺も一ノ瀬さんみたいな美人と付き合いたいよ」

「私がどうかしましたか?? 」


僕がボソッと呟くと、横から女の子が話しかけてきた。


「い、一ノ瀬さんッ!? 」


や、やべぇ、本人だ。

さっきの話、聞かれたかな・・・・?


「はい。えぇっと、先程私のお話をしていた様な気がしたのですが・・・・」


良かった。聞かれてないみたいだ。


「真央が一ノ瀬さんと付き合いたいって」


・・・・優太くん、なんで言っちゃうのかな?


「あの、それって────」


キーンコーンカーンコーン♪


一ノ瀬さんが何かを言おうとした瞬間、朝のチャイムが鳴ってしまった。


あーぁ、これから一ノ瀬さんと顔を合わせ辛いな・・・・


次からぶっ壊します。

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