四ノ宮 歌鈴は大喰らい 1
更新遅れました。四ノ宮さんの事をどう載せるかを悩みました。
誰にだって、思い出したくない過去はある。
と言っても、パッと思いつくのなんて授業中、先生に対して「お母さん」と呼んでしまったり、部屋の掃除を怠っていたら、親にエッチな本を発見されたり、その程度のモノだろう。
そんな僕、七瀬 真央の記憶にも、とある『トラウマ』がこびり付いている。
・・・・まぁ、つまらない話かもしれないけど友人の不幸自慢だと思って聞いてくれ。
☆☆☆
6月も終盤だと言うのに、梅雨は一向に終わる気配が無い。
僕は雨が嫌いだ。
大嫌いだ。
ただでさえ学校に行くのは気が重いのに、ジメジメした空気で余計気が重くなる。
いっそのこと、今日はサボってしまおうか?
・・・・いや、まぁ、しないよ?
そんな事したら隣に住んでる『気弱魔王』が夕方に玄関前へと現れ、延々とインターホンを鳴らし続けるだろうし。
それは怖い。
確かに怖い。
でも、それ以上に───
「隣に『飢えた野獣』が寝てる今の状況の方が怖いよなぁ・・・・」
目が覚めると、女の子が僕の手をギュッと握りながら眠っていた。
彼女は、一ノ瀬 紗奈。
学園の『元』アイドルで、現在は『残念系堕イドル』として知られている美少女。
彼女の本性は、まぁ、今までの話を読み返して貰えればわかると思う。
そして、読み返して貰った前提で言おう。
「なぁんで、毎朝僕のベッドにあんたが潜り込んでいるのかねぇ?? 」
「やましい事はしていません」
あ、こいつ起きてやがった。
しかも握った手は余計力を込めて離そうとしないし。
「おはよう一ノ瀬さん。どうして僕のベッドにいるのかな? 」
「ん〜・・・・。気付いたらここで寝ていました」
「え、何それ怖い。夢遊病みたいな感じですか?? 」
「ん? あー、はい。それそれ。それです。さすがまおくん。頭がいいですね。」
「いや、嘘吐けよ。絶対今適当に決めたじゃないですか。そもそも一ノ瀬さんどうやって家に入って来てるんですか。こっちは不法侵入で訴えたいくらいですよ。」
「もう、なんなんですか、まおくん。さっきからベラベラと文句ばっかり言って。毎朝潜り込んでるんだからそろそろ慣れてくださいよ。私達、後一年もすれば夫婦なんですからね? ちゃんと自覚してますか!? 」
「いや、まったく? 」
「なんでですかぁっ!? 」
え〜、なんで僕が怒られてんの?
そんな約束した覚えないんだけど??
ってか、結婚迫ってくるのは円香ちゃんの十八番じゃなかった??
「さぁ、まおくん。早速この婚姻届に名前を書いてください。」
「いや、さっき一年後って言ったじゃん。書かないよ? 僕。」
「あ、一応まおくんのご両親には必要事項は記入していただいてます。」
「・・・・は? 」
「逃げ場はありません。Go to 市役所」
「あ〜んど、ばらばら〜」
「なにをするんですかっ!? 」
はっ、しまった!
うっかり意図的に婚姻届をバラバラに破り捨ててしまった!!
「うぅっ、予備の婚姻届を持っていて良かった・・・・」
「この人いっつも準備が良い。・・・・あれ? 前にもこんなやりとりした様な?? 」
「『天丼』ってやつですね! 」
「そっか。二度とやらないでね」
「そんなぁッ!? 」
本気でショックを受ける一ノ瀬さん。
不思議だ。まったく罪悪感が湧いてこない。
うーん、でも、そうだな。
最近の一ノ瀬さんの奇行は目に余る。
そろそろ、『彼女』の出番なのかもしれない・・・・。
☆☆☆
「────で、私を呼んだ、と。」
「イエス、マム。」
昼休み、僕は食堂にとある少女を呼び出した。
彼女は『四ノ宮 歌鈴』。
最初は良い人だと思って居たんだけど、本性を知ってしまってからは僕の良き『相談相手』になってくれている。
・・・・あ〜あ、彼女の本性を知る前に戻りたい。
「それで? 『一ノ瀬さんの奇行をどうにかしたい』、だっけ〜?? 」
「うん。前からおかしな娘ではあったんだけど最近特に酷くって・・・・。」
「どんな風に? 」
「えっと、朝目が覚めたら僕の手をギュッと握ってたり。」
「同棲してるの? 」
「してないよ」
「あら〜、不法侵入」
「他にも、突然気絶させられて密室に二人っきりでセルフ監禁したり、僕の部屋に堂々と盗撮カメラや盗聴器を仕掛けたり、僕が眠れない夜に突然現れて『子守歌を歌ってあげます! 』って言いながら『こんにちは赤ちゃん』を歌い始めたり・・・・」
特に、勉強机の所に知らない日めくりカレンダーが置いてあって、最後の日付が僕の誕生日で婚姻届(記入済)が貼られてたのが怖かったな。
理解出来ないのに意味がわかる恐怖ってゾッとするね。
「ん〜っと、それっていつからやられてる? 」
「えっと、始まったのは4月終盤頃、かな? 」
「きっかけは覚えてる? 」
「・・・・友人が勝手に告白したから、だと思う」
「・・・・それだけ? 」
「うん。多分。」
「・・・・そう」
いや、だってあの日以前に一ノ瀬さんと会話した事無かったし。
・・・・多分。
「う〜ん、七瀬君は一ノ瀬さんに奇行をやめて欲しいの? 控えて欲しいの?? 」
「まぁ、控えて欲しい。」
「それはどうして? 」
「だって、『やめろ』って言ってもどうせやるし」
「なるほど、諦めたのね〜」
うん、まぁ、そうとも言う。
あの人に注意して改善された覚えが無いからね。
「でも不思議。七瀬君って、モテる雰囲気じゃないのに。あんな美人に言い寄られてるのに、何が不満なの? 」
「・・・・なんて言うか、『本気』って感じがしないんだよね 」
「へ? 」
「いや、ほんとになんとなくだよ? 何だろう?? 彼女の言う『好き』は一般的な『好き』と違う気がするっていうか・・・・」
「『LOVE』じゃなくて『LIKE』みたいな? 」
「う〜ん・・・・? 」
この感覚は他人に上手く伝えられる自信が無いんだよな。
「『幼稚』、なんだ」
「幼稚? 」
「うん。小さい女の子がさ、『おっきくなったらおとうさんと結婚するの!』って言ったりするじゃん? 」
「言うかなぁ〜? 」
「言うとしてくれ。・・・・高校生にもなるとさ、恋愛事に損得勘定で動く事が多くなるじゃん? 『この人と付き合うとどうゆう利益があるか』『この人の顔面偏差値はどの程度か』『将来性は? 』『計画性は? 』みたいな。でもさ、一ノ瀬さんにはそれが無いんだ。絶対的な信頼感を向けられてる様な・・・・。」
僕の発言に四ノ宮さんはぽきゅっと小首を傾げる。
「えっと、それの、何が不満なの? 」
「『不満』って言うか、『不安』なんだよ」
「不安? 」
「うん。一ノ瀬さんからの好意には裏が無い。でも、他にも何かを隠している。『隠している』と言うか、『言わないままにしている』。そうでなきゃ、こんなの怪し過ぎるよ。だって、自慢じゃないけど、僕は決して女の子にモテる程魅力的な人間じゃないからね。」
「ふふっ、それはわかる」
とにかく、僕は一ノ瀬さんの『秘密』を知るまでは付き合う事は出来ない。
「じゃあ、その『秘密』を知れば一ノ瀬さんと付き合うの? 」
「え? 」
「それを知った事で、一ノ瀬さんが────」
「まおくん、何してるんですか? 」
意味深な言葉を発する四ノ宮さんの言葉を遮る様に、一ノ瀬さんが現れた。
「・・・・ねぇ、一ノ瀬さん何でいるの? 」
「私のお話をしていたので、来ちゃった?♡ 」
「うん、一ノ瀬さんってそうゆう人だよね。知ってた。」
「さすがまおくん! 私の事は何でもお見通しですね!! これって老年の夫婦みたいじゃないですか!? 」
「うん、違うと思うよ。」
「そうですね。私達、まだ始まったばかりですもんね。さぁ、まおくん。私、今日『大丈夫な日』なんです」
「いや、知ったこっちゃありませんよ」
あぁ、ほら。話が脱線しちゃったじゃん。
四ノ宮さんもドン引きしてるし。
周りにいた他の生徒もそそくさと席移動し始めてるじゃんか。
ほんと、この人は・・・・。
キーンコーンカーンコーン♪
「「「・・・・・・あ。」」」
結局、相談しに来たはずがただの雑談で昼休みは終わってしまった。
それにしても────
「『秘密』を知った後、か・・・・。」
彼女の『秘密』を知った時
僕はどうするんだろう・・・・。
更新遅れてすいませんでした。
今回、下品なネタは本当に多いと思います。




