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七瀬くんお元気ですか?  作者: 柴犬男
14/20

三峰 言葉は癒したい 3

投稿しました。

「終わった〜」


授業も終わり、背筋を伸ばしながら椅子にもたれかかる。


「お疲れ様です、まおくん」

「うん、一ノ瀬さんもお疲れ〜」


一ノ瀬さんも疲れているのか、少し顔色が悪い。


「う、う〜ん? なんか身体が鈍ってるな・・・・」

「まおくん、体中の骨がバキバキ鳴っていますけど、大丈夫なんですか? それ?? よろしければマッサージしましょうか?? 」

「え、いいの? 」

「はい! では放課後まおくんのお家へ寄りますね? 」

「うん? まぁ、良いけど・・・・」

「では、私は薬局へ寄ってから帰ります」

「マッサージに必要な物でも買うの? 」

「はい、コンド────」

「あ、やっぱり用事が出来たからまた今度ね」


そうだ、一ノ瀬さんは隙を見つけてはセクハラしてくる娘だった。

頭が働いてなくて忘れてたよ。


「ちょ、ちょっと待ってください、まおくんっ! 」

「はい、なんですか? 」

「あの、えっと・・・・」

「? 」


なんだ? 妙に歯切れが悪いな??

もしかして、本当に体調が悪いのかな??


「さっき、私が『ゴムを買いに行く』と言った時、『また今度』と言いませんでしたか? 」

「言ってないよ? 」

「あれ?」

「言ってないよ? 」

「でも────」

「言ってないよ? 」


言った。


確かに言った。


いや、違うんだ。普通に間違えたと言うか、疲れていたと言うか。

まぁ、とにかく、深い意味があって言った訳でもないし、このままいけば騙せ────


『また今度ね』


今のは機械的だけど僕の声だな・・・・?


「茜くん、そのボイスレコーダーはいつから構えていたのかな? 」

「やだなぁ、真央クンっ! ボクの事は『茜ちゃん』と呼んでくれよっ!! 」

「うるせぇっ! 今すぐそのデータを消せぇぇぇえッ!! 」


こんなの一ノ瀬さんに聞かれたら俺の人生が────


うん、ばっちり聞かれてるね。

さっきまで顔色悪かったのに急に爽やかな笑顔してるもん。

どう言う原理か知らないけど周りから花が咲き始めたし。


「茜くんっ! その音声は他にも種類があるのですかっ!? 」

「あるよ〜、例えば・・・・」


『一ノ瀬さん』


「おぉーーーーっ! 」

「ちょっといじるとっ・・・・ふんふーん♪ 」


茜が調子に乗り始めた。

まずいな、嫌な予感がする。


『一ノ瀬さん』『絶対』『幸せ』『に』『するよ』


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!? 」


なんちゅうもん作り出してんだよっ!?


「茜、今すぐそれ渡せッ!! 」

「えっへへ〜、誰が渡すもんか〜っ! 」


茜は満面の笑みで廊下へ走り出した。

おい、廊下を走っていいのか、生徒会長。

くそっ、足が速い。


『一ノ瀬さん』『きれい』『だね』


茜が走りながらボイスレコーダーを操作しだす。

今度は何をやる気だ?


『一ノ瀬さん』『の』『おっぱい!』『美味そう』


『一ノ瀬さん』『今夜』『は』『一緒に』『寝よう』


「なんてもん再生してんだっ!? 」

「あっはっはっはっ! 」


ちくしょう、早くアレを取り上げないと俺の株が大暴落だ!

それに、こんなもん、円香に見つかったら────


ザシュッ


頬を、刃物が掠めた。


「あ、ごめん、真央君。当たっちゃった? 」

「い、いえ、大丈夫、です」


はい、魔王登場。


「あのね、六車くん。私、その冗談、笑えないな・・・・」

「あ、あっはっはっ、円香ちゃ〜ん、包丁は人に向ける物じゃないよ〜? 」

「大丈夫、『死人に口無し』」

「いやっ、殺す気満々じゃんっ! ちょっと、真央クンっ!? あ、帰ろうとしないでっ! ちょっと、助けてっ、ごめんなさいっ! ごめ、あっ、あっ、あっ・・・・ホアァァォァァァァァッ!?!?!

? 」


許せ、茜。出る杭は打たれるんだ。





後日、茜は「真央クンをからかう時は救急箱を持ち歩く事にする」と語った。

いや、からかうのをやめろよ。




☆☆☆


教室に戻ると、気絶した一ノ瀬さんが保健室へ運ばれていた。

ボイスレコーダーの刺激が強く、鼻血の海を作って倒れていたらしい。


佑曰く、「せめて最後に、まおくんと手を繋ぎたかった」が最後の言葉だったらしい。

普段発情してる癖になんて乙女チックな願いだろう。


「う〜ん、今日の部活は言葉と二人っきりか〜」


あ、何だろう。凄い楽しみになってきた。

久しぶりだな、言葉と2人で部活だなんて。

楽しみ過ぎてスキップしちゃうぞっ♪


「お〜い、言葉〜少し遅れ────」

「お待ちしておりました。」

「────ちゃっ、た・・・・? 」


ドアを開けると、黒服の男が立っていた。

そして、僕の意識はそこで途切れた。



☆☆☆


「一ノ瀬さん、起きてください」

「ふぁ? 」


目が覚めると、二宮さんが私の顔を覗き込んでいた。


「おはようございます。二宮さん」

「え、あ、おはようございます」

「珍しいですね。二宮さんが私に話しかけてくるなんて」

「私だって、本当はあなたと会話なんかしたくありません。でも、真央君が、いないんです。どこにも」

「・・・・・・」

「いつもなら、もう部活も切り上げて帰宅してるはずなのに、電話が通じないんです。一ノ瀬さんなら、何か知ってるんじゃないかって・・・・」

「う〜ん・・・・」


困った。

確かに、私ならまおくんの居場所はわかる。

現に、今もまおくんの居場所はわかっている。


でも、停戦協定を結んでいるからと言って彼女に教える義理はない。


さて、どうしたものか・・・・。


ここで彼女に恩を売るのも後々役に立つだろう。


だが、教えなければまおくんを独占出来る。


「い、一ノ瀬さん」

「はい」

「真央君の『秘蔵動画』。欲しく──── 」

「乗りました」

「ふふっ、話が早くて助かります」


全く、物で釣るなんて彼女もやりますね。




☆☆☆



「・・・・知らない天井だ」

「せんぱい? 」

「うぉあっ!? 」


某アニメのパロディネタをやろうと思ったら突然話しかけられた。


おかしい、僕は部室へ向かっていたはずだ。

それが何故、僕は見知らぬ部屋で言葉と二人っきりでベッドに並べられてるんだ?


「言葉ちゃん? 何? この状況?? 」

「う〜? 」

「ここがどこかはわかる? 」

「うん」

「僕はなんでここにいるの? 」

「う〜? 」


やだ〜、可愛い〜。

でも全然教える気な〜い。


「う〜ん、なんで僕はここに連れてこられたんだ? 」

「せんぱい、わたしとふたり、いや? 」

「え? 嫌じゃないよ?? 」

「・・・・そっか」


そう言って、言葉はそっぽを向いてしまった。

でもね、言葉ちゃん。僕には見えてる。

耳真っ赤だよ。


ニヤニヤと言葉を眺めていると、扉が勢いよく開かれた。


「お〜、七瀬 真央君。よく来てくれたね〜」


扉が開くと、スーツを着たおじさんが現れ、突然抱き締められた。


「え? 誰?? 」

「おや? 君のお父さんから聞いていないかい?? 」


父さん? 何か、あった様な────


「僕は何も聞かされてないですね」

「おや、そうなのか・・・・」


うん、まぁ、嘘だけど。


とりあえず僕達は部屋を出て、広間にあるソファへと座らされた。


でも、言葉ちゃんはなんで僕の隣に座るのかな? ここはお父さんの隣に座るべきじゃないかな??


「では、自己紹介を」

「どうぞ」

「私は『三峰(みつみね) 正蔵(しょうぞう)』。そこにいる『言葉』の父だ。」

「はぁ、どうも・・・・」

「あと、『ミツミネ』の社長でもある。」

「へぇ〜? 」

「驚かないねぇ? 」


薄々気付いてたからね。


「君の事は色々と調べさせてもらったよ」

「え、怖っ 」

「君は随分と私の娘と仲が良いんだねぇ? 」

「まぁ、部活の後輩ですし」

「いやぁ、言葉がこんなにも他人に懐くなんて珍しい事だよ」

「そうなの? 」


言葉に尋ねると、ポキュッと小首を傾げしてしまった。可愛いな。


「今日はよく来てくれたねぇ」

「『来た』ってより、『拉致』でしたけどね」

「ところで君、今彼女とかいるのかい? 」

「あ、『拉致』は無視の方向ですか? 」

「時間が無いからね、巻で行くよ」

「そうゆうノリ嫌いじゃないです。・・・・まぁ、二人の女の子に言い寄られてはいますけど、まだ、返事はしていないです」


まぁ、片方はただのストーカーだけど。


「ほうほうなるほど、モテモテなんだね」

「いや〜、それほどでも〜」

「ところでうちの娘なんてどうかな? 」

「言葉ですか? 」


ちらっと、言葉の方を見る。

すると、言葉もこちらをじぃっと見つめていたらしく、目が合った。


「うん、可愛いと思います」

「だろうっ!? 」

「えぇ、この眠たげな目とか、くるっとウェーブのかかった銀色の髪とか、身長はあまり高くないのに寝る子は育つって感じでふっくらと膨らんだお胸とかもう最高ですよね。あ、言葉のニーソ履いてる時の太ももとの境目とかめっちゃエロいですよね。ニーソと太ももの間に指突っ込みたい。いや、突っ込まないけどね? 」

「君、親の前でよくそこまで言えるね」


いや、だって事実だし。

言葉は少し照れているのか、顔を真っ赤にしながら僕の胸をぽかぽかと叩いてきた。


「「かわいい〜♡ 」」


思わず言葉のお父さんとハモってしまった。


「で、七瀬 真央君。どうかな? うちの娘と付き合う気は、あるかな?? 」

「う〜ん・・・・無いですね」

「・・・・ほう? それは、何故だい?? 」

「だって、言ったじゃないですか。僕は2人の女の子に言い寄られている。しかも、どちらの想いにも応えられていない。ここで言葉を選べば、僕は2人の女の子を『不幸』にする。そんなの、僕には耐えられないです」

「なるほどな・・・・」

「それに────」


僕は、俯いている言葉の肩を掴み、しっかりと目を合わせる。


「僕はまだ、言葉の気持ちを聞いていない」

「・・・・・・」

「今はまだ、応えられない。でも、ちゃんと想いを言葉(ことば)にしてもらわなきゃ、伝わらないよ。『言葉(ことは)』の『言葉(ことば)』で、伝えてくれ」

「・・・・・・わたしは」


言葉の目をしっかりと見つめる。


いいぞ、頑張れ。


君の想いを口に出すんだ!


言うんだ、言葉!!


しっかりと、君の『言葉(ことば)』で────


「わたしはべつに、せんぱいとつきあいたいとは、いってない」





「「・・・・・・へ? 」」


フラれました。ざまぁ。

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