三峰 言葉は癒したい 2
新キャラが登場します。
────あたたかい
あのひとがきた
「せんぱいっ」
うれしくて、かけあしであいにいく
「お、言葉、おはよう」
はなしかけてくれた
うれしいな
このひとといると、『しあわせ』なきもちになる
でも、どうして?
どうしてあなたは
そんなに『かなしい』かおをするの?
☆☆☆
「あれ? 無い??」
昼休みになり、自分がお弁当を忘れてきた事に気付く。
今朝はバタバタしてたからな〜。
仕方ない。学食で済ますか。
何気に始めて行くんじゃないかな?
「ちょっと楽しみだな♪ 」
普段から時間が経って味気なくなったお弁当ばかり食べているので、無意識にスキップをしてしまう。
しかし、食堂に到着すると僕は後悔した。
「うわぁ、人、多いな・・・・」
そもそも、うちの学校の食堂はそれほど広くないので大勢の生徒が押し寄せれば当然座る場所も無くなる。
「どっかいい席無いかな・・・・ん? 」
席を確保しようと周りを見渡していると、窓際に1箇所だけ席が空いているのを発見した。
あ、でも、テーブル席だ。しかも女の子の先客がいるし相席になるかな?
・・・・・・まぁ、いっか!
物は試しだ。
勇気を出し、僕はその少女に話しかける。
「あの、すいませ──── 」
「んむ? 」
その少女を正面から見た瞬間に理解する。「あぁ、めんどくさい娘だ・・・・」と。
少女は、栗色の髪をまとめ、おだんごヘアにしていた。
そして、胸が凄いのだ。
『おっぱい』が凄いのだ。
僕の周りで言えば、一ノ瀬さんが『巨乳』だと言われている。
しかし、彼女のソレとはもはや比べ物にならない。
だが、彼女の胸よりも気になる事が一つだけある。
それは、テーブルに並べられた皿の数だ。
テーブルには、『うどん』『ラーメン』『カレー』などの定番の学食メニューが大量に置かれている。
恐らく、この食べる量があの胸の大きさを形作ったのだろう。
いや〜、でっけぇなぁ・・・・
「あ、あのぉ、なんでしょうか? 」
「え? あ、あぁっ! 」
危ない、完全に頭がフリーズしていた。
・・・・胸を見てた訳じゃないよ?
とりあえず本題に入ろう。
「えっと、席が無いので相席してもいいですか? 」
「ん? あぁ、大丈夫ですよぉ? 私も1人でテーブル席独占するのを申し訳なく思っていたので 」
テーブルに並べられたたくさんの料理を眺める。
え、申し訳ない・・・・? 本当に・・・・??
「あの、これ、1人で食べてたんですか? 」
「えぇ? そう、ですけどぉ・・・・? 」
そっか〜。1人で食べてたのか〜。
「さっきまで友達と一緒だった」とかも考えたんだけどな。
僕が苦笑いを浮かべて見つめていると、目の前の少女が話しかけてきた。
「あの、七瀬 真央くん、ですよねぇ? 」
「え、そうだけど・・・・」
なんで名前知ってるんだ、この娘?
一ノ瀬さんみたいなストーカーとか??
「やっぱり、『残念美少女達の飼い主』で有名な人ですよねぇ? 」
「どんな知られ方してんだよっ!? 」
表現が的確過ぎてびっくりしたわ!
ちくしょう、目立たない様に暮らすのが僕の幸せだったのにいつの間にか有名人になっていたなんて・・・・。
「あの、あまり気を落とさないでください。ほら、今後の人生で何か役に立つかもですし。将来ペットを飼う時とか! 」
項垂れる僕の頭を少女が撫でてくる。
うわぁ、知らない娘に慰められてしまった。
そう言えば、この娘誰だ?
「・・・・えーっと、君は? 」
「あ、申し遅れました。私、『四ノ宮 歌鈴』と言います。一応、隣のクラスに在籍してるんですけど・・・・。覚えてないですよねぇ?」
「う、う〜ん? 」
見た事がある様な、無いような?
「ごめん、覚えてない、かな・・・・」
「大丈夫です、私も、最近まで七瀬くんの事は知りませんでしたし! あまり気にしないでくださいねぇ? 」
「知った理由って、やっぱり・・・・」
「一ノ瀬さんに追い回されてるのを見てからですねぇ」
僕のイメージ『追い回される人』なのか〜。
すげぇ嫌だな。
「大変ですねぇ、本当に」
「えぇ、まぁ・・・・」
あれ? 何だろう??
この人、すっげぇ優しい。
「でも、まさか、こんな所で七瀬くんとお知り合いになれるとは思いませんでしたよぉ」
そう言って、彼女は微笑んだ。
彼女の間延びした話し方、何故だろう? ほんわかとしたオーラを感じて凄く安心する。
あれ? 待ってよ? もしかして、割と常識人なのかな??
「大変ですよねぇ、あんなに女の子達に追い回されて」
「そう! そうなんですよ!! 周りは『羨ましい』って言うけど、ただの貞操の危機ですからね、あれ!! 」
「そうなんですかぁ? でも、男の子って、そうゆうの喜びそうですけど・・・・」
「いや、普通に怖いですよ。想像してみてください。『目が覚めると枕元に全裸の異性』『ケンカした翌日に仲直りの証として渡される婚姻届』『日常的にどこかから監視されている生活』・・・・etc」
「それは、怖いですねぇ・・・・」
「はい、もう少し自重して欲しいです・・・・。もっと、こう、自分を大切にして欲しいって言うか、結局、僕は2人のどちらかを選ばなければならないし。なんと言うか────」
「ふふっ、なんだかんだ言って、お二人の事が大切なんですねぇ? 」
「え? ま、まぁ。二人共『幸せになりたいから』って理由で行動してますからね。それを否定する権利は僕にはないですし」
「ふふっ、お優しいんですね、とっても」
この人、なんと言うか、凄く話しやすい。
全てを包み込んでくれそうな包容力すら感じる。
これは、なんだろう?
今までにいないタイプの人間だ。
彼女は、もしかして────
「あの、『初対面の女が何言ってんだ』って思うかもしれませんけど、悩みとかあれば、相談に乗りますから。誰だって、1人で生きるのは難しいものですから。えーっと・・・・ふぁいとですっ! 」
良い人だーーーーーーっ!!
めちゃくちゃ良い人だっ!
初対面の相手の愚痴を聞いてくれるだけでも優しいのに、これからも相談していいって言われた!!
第一印象で『変な娘』って決めつけてごめんなさい!!
僕が彼女を見つめると、ニコッと微笑み返してきた。
うわ、なんか、ドキドキする。
これが、微笑みの爆弾って奴か?
僕じゃなければ惚れてたね!!
キーンコーンカーンコーン♪
「「・・・・・・あ。」」
予鈴が鳴ってしまった。
「す、すいません! 私が話しかけてしまった所為で、七瀬くんがご飯を食べる時間が!! 」
「いいよいいよ、帰りに何か買い食いでもするから! 」
あぁ、四ノ宮さん、良い人だ。
彼女に会えた事は、最近の嫌な思い出全部吹っ飛ぶくらい嬉しいよ。
結局、何も食べられなかった。
でも、何故だろう。
凄く満たされた気分だ。
・・・・まぁ、四ノ宮さんは話聞いてる間にテーブルの料理全部完食してたけどね。
あの量を本当に食べ切るとは思わなかった。
☆☆☆
「七瀬、くん、か・・・・」
不思議な人だな。
本当は、彼の事は前から知っていた。
この町で彼の事を知らない人はほとんどいないだろう。
しかし、話した事は無かった。
話しかけるほど、興味が無かった。
だから、今日関わってみて気付いた。
「彼、一度も『笑わなかった』」
彼は、よく『笑う』人間だと思う。
最初は、犬みたいに気付いたら相手との距離を詰めてくる。そんな印象だった。
でも、話しているとふとした瞬間に気付く。
彼の『笑顔』は、ここには無い。
ここにはいない誰かに笑いかけている様な、そんな顔をしている。
まるで、ずっと昔から『笑顔が張り付いている』様な。
生きる為に『笑う事を選んだ』様な。
『幸せ』な笑顔じゃない。
『あの時』、彼に何があったのかはわからない。
それを教えて貰える程、親しい間柄でも無い。
だけど、何となく、彼を一人にしてはいけない気がする。
誰かが彼の側にいてあげないと。
でなきゃ───────
☆☆☆
教室に戻ると、当然の様に円香が黒い瞳で見つめてきていた。
「真央君、どこに行ってたの? 」
「食堂です」
「お弁当は? 」
「家に忘れてきました」
「本当に? 」
わかった。円香。
早く本題に入ってくれ。
いつもはおどおどした喋り方なのに、急にはっきり喋るの怖いです。
後、その真っ黒な目で見つめられてるの凄いキツい。
「真央君」
「・・・・はい」
「どうして一ノ瀬さんが真央君のお弁当を持っているの? 」
「・・・・はい? 」
あれ? 話ってそれなの??
てっきり、円香に内緒で食堂に向かって女の子の臭いを漂わせながら帰ってきたから怒ってるのかと思った。
「えーっと、一ノ瀬さん、なんで僕のお弁当持ってるの?? 」
「まおくんが朝忘れていたのでついでに持ってきました! 」
一ノ瀬さんがすっごい「偉いですか? 」って目で見てくる。
「一ノ瀬さん」
「はい? 」
円香が、低い声で一ノ瀬さんに話しかける。
大丈夫か? これ??
血が流れるんじゃないか?
俺が弁当を忘れた事で教室が戦場に変わるんじゃないか??
さっきまで命だったものが足下に転がるんじゃないか??
「今度から朝登校してから真央君に渡してくださいね? 」
「そうですね! 私とした事がうっかりしていました!! 」
あれ? 平和的に終わった。
停戦協定でも結んだのかな??
まぁ、授業も始まるし、そのぐらいにしておいた方がいいよね!
「あ、それから真央君」
「はいっ! 」
「後でその見知らぬ女の子の臭いについて、いくつか質問がありますから・・・・」
お、お気付きになられていましたか・・・・。
はぁ、帰るのが憂鬱になってきた。
☆☆☆
「んん、ふわぁ〜・・・・」
三峰 言葉が目を覚ますと、周りには誰もいなかった。
それもそのはず、ここは福祉部の部室だ。
確か、昼休みになり、部室でご飯を食べようとした所までは覚えている。
気付けば今日の授業は全て終わってしまった。
だが、言葉にとってそんな事はどうでもよかった。
『せんぱい』に会える。
そう思うだけであたたかい気持ちが溢れてくる。
あぁ、早く来ないかな。
そう願いながら、彼女はまたウトウトと眠りに就く。
歌鈴ちゃんキャラうっすい・・・・。




