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従属魔法で使い魔ゲットです3

ずっと放置されていたこの一話が気になり、密かにUP

この後がまとまってないから、次の更新はいつになることやら……。

窓から差し込む眩しい日差しに、自然と目が覚めた。

空気は澄んでいて、快い朝。


大きな欠伸と共に、両腕を天に向けて精一杯伸ばす。


割とスッキリ目が覚めたな。


ベッドの上で簡単に上半身を動かしながら、静まりかえった明るい部屋を見渡してから、バルコニーに続く大きなガラス窓に視線を向けた。


明るいと思ったら、カーテンを閉め忘れていたらしい。


視界に映る見慣れない部屋。

無駄に広い。


目が覚めたら全部夢でしたってオチを期待したのは何回目だろう。

毎朝期待して目を開き、自室ではない現実にがっかりする。


もう一度伸びをしようと腕を上げかけて、隣で誰かが眠っていることに気づいた。


見下ろすと、布団から黒い髪がはみ出している。


ああ、少年か。


少年は寝る前に必ず私の様子を確認しに来る。

状況によってはそこから私の長時間のおしゃべりタイムに付き合わされる少年……うん、いつもごめんね。


昨夜はまさにそれ。

昨日はアルコールもちょっと入っていたし。

カークさんの訳のわからない状況もあったわけだし。


そりゃ、愚痴りたくもなるよね。

今から考えると、延々私の愚痴に突き合わされた少年が哀れではあるけども。


結局二人で寝落ちたのだっけ?


布団に包まって眠る少年を眺めながら、私は昨夜のことを思い出していた。








カークさんへの愚痴がピークに達し、つい本音が出てしまった。


「もうヤダ。帰りたいよ」


今までも散々言ってきた言葉。

だけど、これまでと違って希望を含んだ言葉ではなかった。


アルコールの力は怖い。

子供の前で泣き言など口にできないと虚勢を張っている自覚は多少あったけど、無理をしているつもりはなかった。

楽天家だし、深く考える性質でもなかったから、この異世界生活自体は楽しんでいるつもりだった。

なのに零れた。

そして止まらない。


何も言わない少年に言葉をぶつける。


「帰り道探しながらマーダレーに荷物取りに行こうよ」


高校生達は高校生達で上手くこの社会に入り込んで居場所を作っているのだし、彼らの好きにすれば良いのだ。

カークさんの話からすると、ずっと王宮にいる彼らが知っていることなんて、どうせ私達の十分の一もないんだし。

彼らの働き次第で私達が元の世界に帰ることができるなんて魔王イベントらしきものもない。


この世界は魔物が跋扈していて、魔法がある世界だ。だけど、ただそれだけなのだ。

ゲームのようにラスボスがいて、倒すとクリアなんてお手軽な事象があるわけではない。


初めに私たちが触れた召喚魔法自体が、自然現象に巻き込まれる生物が無事にこちらの世界へ渡って来られるようにかける補助魔法だから、私達日本人が思うような魔法じゃないんだよね。


じゃあ、その自然現象に人が巻き込まれた時に召喚魔法を使わなければ巻き込まれた人がどうなるかというと、カークさんも知らないらしい。

でも、推測はできる。

わざわざ召喚魔法という名前で魔法が行使されているのだから、本来なら世界を渡る時の生存率が低いのではないのだろうか。

おそらく、遠い昔には魔法を介さずに生きた状態でこの世界にやってきた異世界人がいたはずだ。

世界同士の境界を人の手が加わらない状態で生物が渡れた実績がなければ、そもそも召喚魔法などという補助魔法を作ろうとは考え付かないだろうからだ。


カークさんに使われた従属魔法にしてもそうだ。

主と従が互いの関係を契約という形で束縛するものの、従の忠誠心を強くする補助的な部分が術式の大半を占めているらしい。

なので、主人の命令が気に入らなければ従わなくても物理的なペナルティはないのだそうだ。

この魔法の肝は精神干渉で忠誠心を強くするため、まず主人の不利益になることはできなくなるということらしい。

通称使い魔の魔法と言われている割にショボい気がするのは私だけでしょうか?

呼べばどこからでも現れたり、命令には絶対に従ったりとか、そういういわゆる日本人が考えそうな使い魔の機能はないという、なんとも微妙な魔法なのだ。


そういえば、白雪と出会った時に制御を失った船の対処で、船そのものに働きかけることはできなくて、大惨事になる原因を無くすことで対応していたしな。

地形変わるほどの魔法ではあったけれど。

それほどのエネルギーを使っていたにもかかわらず、船の制御という根本的な部分の対処はできなかったのだ。


万事が万事こんな状態のようで、この世界だって、元いた世界と同じで全てが一気に解決するような魔法があるわけではない。


結局の所、私達がやるべきは、常に動いて情報を集める。

過去の出来事や伝承、噂、そういったものを精査していくしかないのではないかな。


王都に来てから、高校生達ときちんと話せなかったり、カークさんが馬鹿げた事になったりしたものの、私自身の第一目標はマーダレーの街を出発した時から変わらない。

日本に帰る方法を探すのだ。

もちろん、リスクは負わずに堅実に、が条件で。


であるなら、いつまでもリスクの高い王都に滞在する必要はないし、情報を求めて他国へ行く事も視野に入れた方がいいかもしれない。


「王都で指名手配を受けているなら、さっさと出ればいいと思うの」


そう言うと、無言の少年が私を見上げてきた。


反論はあるだろう。

だって、まだ王都のギルドで仕事を一つも受けてない。

つまり、成果がないから、彼の冒険者ランクもEランクのままなのだ。

ドラゴン討伐を少年の手柄にするべきだって私は主張していたのにね。


「路銀だって無限じゃないし、生活費の高い王都は出てしまって、他の街で依頼を受ければいいのよ。見つからない鑑定師は諦めて、白雪が復活したら、面倒ごとの多そうなこの街にはさようならしよ?」


それに、このままこの屋敷に滞在するのも気が引けるというか、居心地が悪いというか。


屋敷の執事さんらしき人に聞いたら、彼や従僕ぽい人達は王族に仕える近侍というものと教えてもらった。


本人達はカークさん自身へ仕えているのだが、公には宮仕えの立場らしい。

お給料は国王から出ているということだ。

この建物も王家の持ち物であり、離宮として機能するものらしい。


王家の一員であり、一家を持たない王弟のカークさんとしての財産は、国王に下賜されたもの以外は何もないらしい。

冒険者として稼いだお金はもちろんカークさん自身の財産なので、不自由はしていないそうだけど。


そんなこと聞いたら、更に居心地悪くなっちゃうって。

だって、ここでの滞在費って、税金ってことなのよ。

税金で贅沢するなんて、小市民の有権者にとって敷居が高すぎるわ。

会社のお金での接待もきまり悪く感じるくらいなのだから。


「なんだかんだ言って、最後の面倒ってのが本音だよな〜」


黙って聞いていた少年が、しようがないなあと洩らした。

腹を立てたりしないあたり、ホント男前です。


「まあ、おねえさんが好きに動くと厄介ごとが起こるみたいだし、そこに期待する気持ちはあるんだ」


少年に惚れ惚れしていたら、違う意味で信用がなかった。


「でもさ、おねえさんは嫌がるけど、俺、前にカークが言っていた遺跡ってやつが気になっている。先に念押しておくと、好奇心とは違うからな」

「前にガッツポーズでお約束来た!って言っていたよね?」


脳裏に浮かんだ記憶から指摘してみる。


「それはもういいんだよ。テンプレをことごとくおねえさんに潰されたりスルーされたりするのには慣れた」


テンプレなんてあったっけ?

そんな場面も、潰した覚えもないけども。


「俺は観光気分で遺跡の踏破を目指したいって言っているんじゃないんだよ。異世界に関する情報が遺跡に眠っている可能性を考えてるの。面倒だからスルーは、まあ、おねえさんの得意技だし、多少はいいんだけど、これに関してはスルーするべきじゃないと思う」


少年が真剣な眼差しで意見する時は冗談にしちゃいけない。

判断できる程度には理性が働いている。


「日本への帰り道の手がかりを探しに、遺跡の踏破を目指したいって事だよね? それは分かったけど、カークさんの話では世界各地にいくつもあるらしいけど、全部回るつもり?」


私の指摘に考え込みながら少年が続ける。


「それは現実的ではないよね。ただ、判断材料として一度は遺跡に行ってみるべきだと思うんだよ。それに、鑑定師にしても、高校生にしても、俺達はどっちも目的を断念しているじゃないか。何か一つぐらいは有言実行で成し遂げたいし。厄介ごとに育ちそうな出来事から逃げようとするのは、おねえさんの悪い所でもあるよ。見ないふりしてくれる事で助かっている部分もあるのも確かだけどさ」


十一歳年下の中学生に説教されてしまった。

彼の言い分が正しいと感じるし、理解もできるから、反論なんてできないし、全面的に認めて頷くしかない。


「面倒だからの一言で逃げないで?」


沈黙してしまった私を覗き込むように見上げ、少年は気遣う仕草ながらもはっきりと伝えてきた。


言われてしまった。

すぐに逃げたくなるのは、確かに私の悪癖だ。

常にお客さんで、第三者の立場を好み、踏み込まない。それは責任を負う事で逃げることができなくなるのが嫌だから。


暴かないで欲しい。

この世界に来てから、少年というフィルタを挟んで異世界と関わっているという事実を。


ああ、考えたくないと考えることこそが逃げであるのか。


これは、私自身の心の在り方なのだ。


異世界だからではない。

日本でだって、私はずっとそうやって生きてきた。

今更、生き方の変え方なんて知らない。


少年が大人びた様子で、息を吐く。


ああ、そっか。

言われてしまったのではなくて、言わせてしまったのだ。


そう気がついて、バツが悪くなった。

こちらを見つめるその視線が恥ずかしくて、隠してしまいたくて、小柄な彼の頭を胸元に寄せた。


慌てた暴れる少年の頭をそのまま胸元で軽く抱える。


「ぶっ! お、おねえさん?!」


本気で逃れようと思えばすぐにでも私の腕を振り払えるのに、そうしない優しさに甘えてしまうのを感じながら、その耳元に囁く。


「ごめんね。言いたくないこと言わせた。そっか、逃げちゃダメかあ」


動きを止めて、彼が深くため息をついた。


「変な所で素直だよな」


私の背中に片腕を回して、外してくれとばかりにトントンと軽く叩く。


「や、その、私情けない顔してそうだからちょっと待って」

「そんなの……まあいいか。じゃあ、気が済んだら放して」


観念したように動きを止め、少年は優しく告げてくれた。

その態度も男前だと思う。


「恵人くんは色々大人すぎる」


子供らしくない。

最近は特にだ。


「……そう思うなら、そう扱って欲しいけどな」


篭った声で彼が呟いた。


で、私ってば、そのまま寝落ちたのだ。


昨夜の経緯を思い出し、思わず布団の中に潜り込んでしまった。


いや、だって、私超絶恥ずかしくない?

酒に酔った勢いで十四歳の子に愚痴言いまくって、現実逃避して、最後には子供に窘められるって。


でもって、最後のあれ何?

普通、こんな酔っ払いのおばさん嫌うよね。

うざいよね?!


「うざいに決まってる〜!!!」


その瞬間、盛大なため息と共に布団の上から軽く撫でられた。


「なんか、よく分かんないけど、別におねえさんはウザくないよ。て、何やってんの?」


呆れた声。


布団から顔を出すと、少年が眠そうに目を擦っていた。


「えっと、色々と、昨夜の醜態を反省中と言いますか」


自身の羞恥心とショックを和らげよう思ったのだ。なのに返ってきたのは少年の冷たい一言。


「今更?」


言い方が可愛くない!


ムッとして更に布団から出て少年を睨め付けてみる。

何故か鼻で笑われた。

軽くあしらわれたようで気分は良くない。

言い返そうと口を開いたが、先に少年が言葉を紡いだ。


「別に醜態なんてなかったと思うけど。おねえさん、酔うと記憶なくす人?」


不思議そうに尋ねてくる。


「え?なくならないよ?」


記憶なくなるまで飲むとか、そんな酒豪ではない。

二日酔いにはなったことがあるけど、記憶を飛ばしたことは今まで生きてきた中で一度もなかった。


「じゃあ、やっぱ、何で反省してるのか分かんないなあ」

「だって、お酒に酔って自制なくして子供に愚痴るのは醜態でしょ」

「子供って、誰?」


冷ややかな声で返された。


「あー、恵人くん……。いえ、違うね。うん。恵人くんは恵人くんだから子供じゃないね。うんうん、醜態なんて晒してない。晒してない。あはははは」


地雷踏んじゃった。


でも、昨夜のこと、少年は何とも思っていないってことだよね。

ウザくもないし、恥ずかしくもないってことで。


「よし!忘れた!」

「おねえさん。忘れてもいい都合の悪いことと、忘れちゃいけない都合の悪いことがあるからな」


この子、本当は年齢詐称しているに違いない。


「とりあえず、再度高校生に会えるように頑張りましょうって、ことだよね」


酔った勢いで取り止めなく話していた会話を思い出しながら、少年の様子を窺ってみる。


幼子を褒めているような、良くできましたと言わんばかりの笑顔を浮かべた少年が、次の瞬間に視線を下げて眉を潜めた。


「ところで、このちっこいのは何?」


私と少年の足元、ちょうど二人に挟まれた位置に、丸まっている子供がいた。

眠っている姿が、これまた天使のように愛らしい少女だった。


私達に見られていることに気づいたのか、少女がむくりと起き上がって目を開いた。


黒い髪、白い肌に、鮮やかな赤い瞳。

あ、か、い、ひ、と、み……?


「白雪?!」


少年と私の声が重なった。


いや、だって、驚くよね。

あの妖艶な美女の白雪が、何があったのか、特徴はそのままに、外見年齢六歳ぐらいの女の子になっていた。


「うちたてひなた、しらゆきのエサから、うちたてひなたの良い香りがする。エサだけずるいぞ。しらゆきとするのだ」


びっくりする私達など意に介さず、小さな女の子は一生懸命私に言い募る。

うん、何言ってんのか、全くわかんない。


「おねえさんが主人なんだろ? なら、白雪は今さら契約の必要なんてないじゃん」

「違うのだ。しらゆきがうちたてひなたの一番なのだ」


白雪が拗ねているのは理解できる。

何言ってんのかは、本当に分かんないけど。


「恵人くん、はい、通訳」

「え?は? 何通訳すんの? 自動翻訳されてるよね」


きょとんとする少年。

珍しく察しが悪いなあ。


「言葉が理解できるのと、言葉の内容が理解できるのは全然違うでしょ」


そう口にすると、彼は大きくため息をついた。


「白雪の餌ってのはカークとリアンのことだろ。どっちかからおねえさんの気配がするって今さら言うんなら、カークの方。つまり、リアンと同じで、カークとの主従契約が気に入らないって言ってんだよ。あいつもずっとうるさかったもん。本来はテイマーがテイムした魔獣へ行使する魔術みたいだし……あ、そうか。従属魔法って白雪と交わしてる方が自然なのか」


後半は聞かせるつもりはない独り言のような口調だった。


カークさんとリアンさんが餌って……。


「んー。つまり、白雪はカークさんと同じ状態になりたいってこと」

「まあ、そういうことだな」

「でも、あの魔術、私が使ったんじゃなくて、カークさんが勝手に行使したものよね? だから、私には何もできないよ?」


私がそう告げると、白雪は悲しそうな表情を浮かべた。


「ウチタテヒナタはシラユキのご主人様は嫌か」


そんな恐々聞かなくても、私が白雪の存在を不快に感じていないことは明白だし。

地下牢で白雪を置いて行った時の喪失感はもう味わいたくない。

ご主人様云々はともかく、失いたくないと思うぐらいには身内意識がある。

今の白雪、半端なく可愛いしね。


「むず痒いけどねー。まあ、白雪がそう呼びたいなら、まあいっかなーぐらいの感覚?」


彼女が喜色を浮かべた顔を私に向けた。


「ウチタテヒナタはご主人様。シラユキは僕になる。世界を司る力に願う」

「あっ」


白雪の弾んだ声を聞いていた少年が、途中で小さな声を上げた。しかし、あまりにも楽しそうな彼女の声にかき消されてしまう。


「ウチタテヒナタ、シラユキの頭を撫でる」


先ほどまでの悲しそうな様子から一転して、本当に嬉しそうに、楽しそうに言うんだよ。

その様子がとっても愛らしいのよ。

頼まれなくても思わず頭を撫でてしまうぐらい。


「シラユキはウチタテヒナタを裏切らない」


瞬間、手のひらが熱を持つ。

憶えのある熱さだった。


「だから、うかつだってーの!!」


少年の私を叱咤する声が、広い部屋に響いたのだった。


(日向)「そういえば、なんでリアンさん達はカークさんと王弟が同一人物だという事をデマだと思えたの? だって、同一人物って話が出るのは変じゃないよね? 王族が冒険者やってたら、普通誰か気づくだろうし」

(リアン)「そういえば、なんでだったんだろう。デマ情報っては冒険者の中での常識だったからさ。誰かが本気で同一人物説を唱えても、他の冒険者に笑われて信用を落とすのが関の山だったし」

(恵人)「そもそも、同一人物だってのは、何が根拠だったんだ?」

(リアン)「化物級の魔術師が同時代、同じ国、同じ人種で二人存在することが、起こり得ないとかいう話からじゃなかったかな」

(恵人)「じゃあ、デマの根拠は?」

(リアン)「王弟殿下が他国との国境紛争とか国内の治安維持に一線で活躍し始めたのは二十年以上前なんだ。冒険者のカーク氏の名前が人の口の端に上り出したのは十年ほど前だし、その時、彼はまだ二十歳そこそこだったはずだから、世代が違うという理由だったはず」

(日向・恵人)「世代も何も、同一人物なんだから、同じ歳じゃないか」

(リアン)「だから、王弟殿下は国王陛下の末弟とはいえ、元々王位継承権もないのと同じくらい低かったし、あまり人前に出る人ではなかったから、どのような人物なのかは一般の国民は知らないんだよ。それに末弟とはいえ、国王陛下の弟なんだから、同じぐらいの世代だと思うのが人の常じゃないか」

(恵人)「ちょっとタンマ」

(日向)「?」

(恵人)「カークはオレらが王太子の第二王子を怒らせたって言ってたな。第二王子って幾つだよ? オレより上に見えたぞ」

(日向)「あの女の子二人といたキラキラ王子様って感じの人だよね? 見たところ二十歳過ぎって感じだったけど、こっちの人って老けて見えるから十八、九歳てとこじゃないかな」

(恵人)「老けてるというより日本人が幼く見えるような気がするけど……そうだよな、そのくらいだよな? じゃあ、父親の王太子は?」

(日向)「次男なんでしょ?なら、若くても四十歳は超えてるんじゃない……あ」

(恵人)「だよなー。今の国王って、かなり年配のはずだよな。なら、いくら歳が離れたらからって言っても普通に考えても王弟なら初老だって思っちゃうよな。多分、この国の人にとっては当然のことなんだ」

(リアン)「そう。だから、初陣が十歳頃って事になるカーク氏はおかしいんだよ」

(カーク)「八歳で冒険者してたお前に言われたくはねえなあ」

(リアン)「うわあ、いつから聞いてたんだよ」

(恵人)「そりゃそうだ。確かに非常識なリアンには言われたくないよな」

(リアン)「獣人族の八歳登録は非常識じゃないって。そりゃ、ちょっとは早い方だけど。僕は地道にFランクの依頼をこなしてただけだし」

(日向)「非常識な話をしたら、ケイト君に敵う人はそんなにいないと思うので」

(恵人)「いや、おねえさん、俺は普通に普通の中学生だったから」

(カーク)「チューガクセイが何かは知らんが、能力の非常識さにかけてケイトを上回る奴はそうそういないぞ」

(リアン)「全面的に同意する。お前の能力成長率、どうなってんだよ」

(恵人)「そこ、納得すんな! 大体、存在の非常識さにかけてはおねえさんに敵うわけないだろう!」

(カーク・リアン)「ま、確かにな」

(日向)「え? それ、非常識発言おかしくない?」

(白雪)「そう、ウチタテヒナタが一番凄い」

(日向)「ちょっ、なんで最後だけ出てきてそんな結論で締めようとしてるのよ、しらゆき〜!」

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