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▶︎ 召喚されました 3 (女子高生その二)

学校の帰り道、友人達と横断歩道を渡っていたあたしは、気がつくとストーンヘンジみたいな、岩が並んでる場所にいた。


一緒に帰っていたクラスメイト二人と、同じ学校の知らない男子四人もいっしよだった。


何が起こったのか理解できなくてパニックになっているクラスメイトを見ながら、あたしはこれが異世界召喚だってピンときた。


最近流行りの集団召喚ってやつ。


足元の草を見ると、魔法陣のような後がある。


きっと召喚主が近くにいて、今から説明を始めるんだわ。


予想していると、期待を裏切らず、綺麗なお姫様のような女の人が私達の前に立った。


プラチナブランドのサラサラの髪に、澄んだ空を思わせる青色の瞳。

まるでお人形さんのような愛らしく整った顔立ちは、テレビや映画の中でも滅多に見られないぐらいの美少女だった。


その美貌が羨ましいとか思う以前に、次元が違うと悟ってしまうほどだ。


美少女は自らをシヴァティア王国の王女と名乗った。


本当のお姫様だった。


召喚の儀が成功したから、お城で詳しい説明をすると言われた瞬間、あたし達はお城の中庭らしき場所にいた。


転移魔法らしいと気づいて、感動するあたし。


本気で異世界にいるんだって、実感した。


お城であたし達に付いた護衛騎士様達がちょーカッコ良くて、本当にラノベの世界そのものだったのだ。


クラスメイトの一人であるユカちゃんが帰りたがってるけど、意味がわからない。


お城であたし達は広くて綺麗な部屋をもらって、美味しい食事は出てくるし、服だって好きなドレスを着せてもらえる。

お姫様が着てるようなヒラヒラのドレスなんだよ。


学校に行ってつまんない勉強しなくていいし、小さな事にいちいち目くじらをたてるお母さんだっていないから「マンガばっかり読んで」って溜息混じりに呆れる声を聞かなくていい。


あたしが召喚された女神のギフトとかいうやつで特別な力を持っているから、みんなどんなお願い事も聞いてくれるし。


スマホを使えないのはちょっとマイナスだけど、それ以外は快適で、帰りたいなんて、これっぽっちも思えなかった。


この世界に一緒に来た七人の中で、本当に帰りたいと感じているのはユカちゃんだけじゃないかな。

初日の説明の時も、帰れるかどうかを一番気にしていたし、質問していたのも彼女だった。


男子達は様子見といった感じだったし、ミサキちゃんもひとまずは男子と同じ行動をとっていた。

あたしは、最初から帰る必要はないと思ってた。


だって、元の世界とは異なって、ここではあたしは特別になれる。


人の怪我を瞬時に治すことのできる能力は珍しいものらしくて、みんながあたしを「聖女様」って呼び始めた。


七人の中で一番有り難がられているし、一番大事にしてもらってる。

誰もあたしを冴えない女なんて言わないし、邪険にも扱わない。


あたしはブスでも、オタクでも、ネクラでもなくて、この世界に一人しかいない聖女様なのだ。

能力のないユカちゃんや魔法を使えるだけのミサキちゃんと違って、あたしだけは代わりがいないの。

シヴァティア王国のお姫様も王子様も求めているのは、このあたしなのだ。


だから、お姫様に日本への召還の儀式とか頼まれちゃ困るんだ。

帰る方法なんて探されちゃ迷惑なんだよね。


そう言ってるのに、ユカちゃんってば帰るの一点張り。

最近は部屋に閉じこもって、同じように能力のない同級生の男子とばかりいる。

あの地味な男子も、儀式のことをお姫様に聞いていた。

どうも、ユカちゃんが頼んだっぽい。


友達甲斐がない。

そこの所、空気読んでほしいと思う。

ほんっと、イライラする。


ユカちゃん、どっか行ってくれないかなあ。




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