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第八幕 ピンクといえばもっぱらいやらしいイメージ

悪夢とは1.「二度と見たくないような嫌な夢の類」を指すものと、2.「夢でしか起こり得ないような恐ろしい現実」を指すものの二種類がある。


詰まるところ言えば、さっきのはただの夢オチというものではなく、俺の実体験がそのまま夢として映し出されたものだったわけだから、両方の意味を兼ね備えた悪夢ということになる。…でもまぁしかし、そんなどうでもいい事実に喜ぶのは「夢だけど夢じゃなかった!」とはしゃぐ少女達くらいのもんであり、ごく一般的ピーポーは「あっそ」とか「それで?」とか冷たい反応で話を切るか話を急かすわけです。


なんてまぁ、そんなくだらない前置きはさて置いて…。


結局あの後、俺の両親は俺の目の前で離婚届けに判を押し合い、清々しいほどにさっぱりと離婚を成立させたのだった。


そして俺はといえば、何故か根無し草な父親に引き取られることがすでに決定しており、

「この場合普通母親じゃね?」と反論しようとも思ったが、よくよく考えてみれば再婚相手の家で、しかもこぶつきのアットホームで生活するよりは独りでこの家に残る方が何倍もマシなように思え、結局それを黙認した。


それが一年前の話だ。


今では一人暮らしもすっかり板に付き、それなりに日々の生活を満喫していたわけなのだが、皆さんもご存じの通り俺の受難はそれだけに留まらず、それどころか更なる悪夢にうなされることになった次第である。


そして周りを見るに、どうやらその悪夢は未だ覚めてはいないようで、真っ赤な絨毯にピンク色の壁という、このファンシーの意味を履き違えたような部屋に俺が寝かされていたことが、それを如実に物語っていた。


だから「ここはどこだ?」…などとは言わない。あのキノコハウスの中だろうことは、想像するまでもなくわかることだから。

気を失った俺を見かねて今度はきちんとした場所に運んでくれたのだろう。

当然俺を殺しかけたチビッコではなく、多分おそらくだが…あの子が。


俺を助けてくれた姫と呼ばれた少女。あのアングルからでは顔はよくわからなかったが、すらりとのびた手足は雪のように白く、長く切りそろえられた黒髪は絹のように滑らかで、それだけ見て俺は彼女が相当な美人だろうことを勝手に確信した。さらに言えば、俺はそんな特徴を持ち合わせた人物に1人だけ心当たりがあったわけだが…。


「はっ、まっさか…」


よっこらせーと体を起こした俺は、自嘲気味な笑いを漏らし、その考えを一蹴した。


ないないない。それはないって。何だってあの人がこんな所に…


「ん?」


そして今更ながら気が付いた。自分の股間あたりで何かが蠢くのを…


「すぴー、すぷぅー」

「………」


そこにいたのはこれまた少女だった。全体的にピンク色した少女が何故か俺の股の上で猫のように丸くなりスヤスヤ寝息をたて眠っていた。


とりあえず俺はその子のことをピンクちゃんと命名することにした。

ピンクちゃん!あんた一体何やってんの!?

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