第五幕 「キモい」より「気持ち悪い」の方が男としては傷つきます
「ほら、散った散った!夜中の作業で疲れてるんだ、私は」
俺が呆気にとられているのをいいことに、さっさとキノコハウスに入ろうとする少女。いやいや、ちょいとお待ちよお嬢さん。
「ちょ、待てって…!」
登場そこそこに退散しようとする彼女を、俺は彼女の腕をとって引き留めた。
「何だ?」
そんな俺をギロリと睨む少女。別に睨まんでもいいでしょうに…マジ怖いんですけど。
彼女の視線に少し怯みながらも、俺はそこで初めて彼女の姿をきちんと確認する事ができた。
その少し低めの声や独特の喋りとは裏腹に、彼女は非常に小柄な少女であった。その身長は俺の腰ほどの高さしかなく、それから考えれば彼女の身長は120センチもないだろうと思われる。
そんな彼女の装いは赤色のチュニックに黒のパンツルックで、足にはやけに先のとんがったブーツを履き、頭にはヘンテコな布製の帽子を被っている。
ファッションに特別詳しい訳ではないが、全体的に奇妙な出で立ちをしているように思う。主にその帽子とか、帽子とか…。
まぁしかしだ。ここまでならただの奇抜でおしゃまな小学生ですむ話で、まだ常識の範囲内だと言えるかもしれない。
しかし、そのヘンテコ帽子からのびるように生えた真っ赤な長い髪と、それに合わせるように光る真っ赤な目。さらにその髪の間から覗く、彼女のやけにとんがった耳がこの少女が常識の範囲などとうに超越した、ただ者ではない人物だということを俺に示していた。
てか本当に何なのこの子…髪は染めてるとしてその目は何よ?カラーコンタクト?これが俗に言うコスプレって奴なのだろうか?それにしても気合いは入り過ぎだろ。
そんな恐るべき日本のオタク文化に若干引き…気圧されていた俺だったが
「…何を見ている、気色悪い」
そんな彼女の胸をえぐるような言葉により我に返った。
少女はまるで変質者でも見るような目で俺を見ている。
「この変質者が」
…いや、変質者として俺を見ていたようだ。ちょっとあんた。そりゃあんまりにもヒドくない?
本日二度目の変質者扱いにショックを受けつつも、これ以上変質者扱いされてはたまらんと、俺は急いで弁解に回った。
「違う!俺は変質者じゃない!」
「変質者は誰しもそう言うんだ」
はい、墓穴。もう何を言っても俺は変質者確定らしい。
…そうかい、そうかい。そういうことならこっちにも考えがあるんだからね!
あまりの理不尽さに、もはや崩壊した俺のリミッター…
「ふっふっふっ…バレちゃあしょうがない!そうさ!俺は生粋の変質者!悪戯されたくなかったら大人しくこの家を明け渡し、この場からそうそうに立ち去るがいい!」
気がつけば俺は住宅街の一角で声高らかに変質者宣言をかましていた。
作者は1cmの長さがよくわからなかったため、今更ながら小人の身長が30cmほど縮みました。150て結構でかいわ(^^;)さらに縮むかも・・・