第一幕 ゴミはゴミ箱に。では人は?
目が覚めると辺りはすでにぼんやりと明るく、俺はえらく長い間、気を失っていたのだということをこの時理解した。
しかし、わからないことが一つ…俺は一体全体、どうしてこんな所にいるのだろうか?
「なぜだ…?」
気がつけば俺は、ゴミ捨て場に棄てられていた。
しかもご丁寧にゴミ袋に入れられて、今は頭だけ出ている状態である。これは優しさなのだろうか?この寒空の下、せめてゴミ袋だけでもまとって寒さを凌いでねと。
嬉しいじゃないの、人間まだまだ捨てたもんじゃないねっ…て、んなわけあるかー!だいたい捨てられてるの俺やがなー!
などと、そんな極寒の一人ノリつっこみを経て、俺は我に返った。
「…そうだ、俺の家…!」
そして思い出す。あの悪夢のような光景を。七人の少女がハンマーを手に俺の家をフルボッコ。俺が見たあの光景が夢でないのなら今俺の家は…
俺はいてもたってもいられなくなり、袋姿のまま、尺取り虫のように這いずると我が家があるはずの方角を目指した。
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それから数分後…
「何じゃこりゃあ…」
やっとの思いで戻ってきた俺はその光景に愕然とした。
結果から言えば、あれは夢でも何でもなく、まごうことなき現実であり、昨日までそこにあった我が家はまるで初めから無かったかのようにその場から姿を消していた。
しかしまぁ、それは、実際その様子を目の当たりにしたわけだから覚悟はしていたことで…いや、すんごいショックなのだけれど、まだ平静を保っていられると思っていたのだ。
しかし俺はこの様に
「開いた口がふさがらない」という言葉を見事に体で表現している状態で…つまり何が言いたいのかと言えば
「豊臣秀吉の一夜城かっ!」俺の家があったはずの跡地にはすでに家が建てられていた。