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ゴリラ人間の孤独

笑わないで聞いてほしい。ある朝目覚めると、僕は、なんとゴリラになっていた。

そう、あの全身毛むくじゃらでムキムキのマッチョなボディを持ったマウンテンゴリラだ。


突拍子もない現実なので夢だろうと思い頬っぺたを強くつねってみたが、自分(ゴリラ)の凄まじい握力で、危うく頬っぺたをフランスパン感覚で引きちぎりそうになり、激痛が走った。


紛れもない現実だと判り「ウソだろ!?」と言おうとしたが、いかんせんゴリラのため、「ウホウホ!?」と叫んでしまっていた。


高校を卒業後、親元を離れ単身サラリーマンとして上京し、家賃の安いボロアパートを借り、連休も明け、今日から会社へ出勤する日の朝のことで、もう、なにがなんだか訳が分からなかった。


とりあえず、落ち着こうと思い、僕は、一人エッチを試みた。が、ゴリラのソレは、人間などとは比べ物にならないくらい巨根で少し小さめの大根のようでもあった。改めて、自分が本当に猛獣になったのだと愕然とし、するのを止めた。


そうして、ゴリラの僕は、半分人間の脳味噌を半回転させ、どうすればいいのかを考えた。まず、こんな姿で外にも出れない。電話で助けを呼ぼうにも、人間の言葉が操れなかった。そうだ!メールだ!とハッと気づきスマホで、安全で身内の母親に、「朝起きたらゴリラになっていた」という事の経緯を、深刻だが、ちょっと笑いそうになりながら文章で打ち込んだ。


証拠にとゴリラの自分の姿を、部屋にあった自撮り棒で僕だと気づいてもらえるようにチャームポイントである全開笑顔を作り(威嚇するゴリラにしか見えない)撮影しメールを送信した。


しばらくして希望の音色のような着信音が鳴った。母親からだった!判ってくれ!と祈るような気持ちでメールを開くとこう書かれてあった。


「大丈夫かい!?正(僕の名前だ)は、ふざけた事しないで、そんなに東京が苦しかったら田舎に帰ってきてもいいのよ?!」


失敗だ……。


僕は、なげやりになり、冷蔵庫にあったビールをあおりもう一度布団に潜り込んで眠りに落ちた。


僕は、パニックでしていなかったことがあった、テレビやネットを見ることだ。

そこでは、空前の着ぐるみゴリラファッションブームが話題で取り上げられていた。つまり、ゴリラの僕が歩いていても気づかれないのだ!


僕がそのことを知るのは、起きてしばらくあとだったが、夢の中にいたゴリラの僕は、町で猟友会のジジイに散弾銃で蜂の巣にされる悪夢にうなされていた。


その後、ゴリラファッションブームは、ブームではなくなり一大スタイルとして日本で定着するのであった。


そして、僕は、脳味噌は半分人間だったので日本語を話せられるようになっていたがゴリラはゴリラのまま人間を偽り続け生きていくことには何の変化の兆しも見えなかった。


「とかく人の世は生きにくい」byゴリラ人間


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