靉靆
白い空間。なんて耳障りな音。
漣の様に、雷鳴の様に、私を取り巻く存在。
黒い星々が彩るテレビを見て
涙する
ここから出たい
出て、もう一度空を見たい
歪んだ感情を感じたい
希望を見たい
楽園と称されるこの空間を
誰か壊して
何も無い事
何もかもに溢れかえっている事
欲望に濡れる事
己に乾く事
全てこの箱は知っている
全てこの中に入っている
その全てが
私を狂わせる
外は怖い
けれど、中はもっと怖い
でも出られない。出口は無い。
入り口はもう閉ざされた
誰も来ない。
人ごみにまぎれる音も、何も感じない
ただ、ただ、この空間の中で
幸せに浸る。
「◯◯さんて、行方不明になったんでしょ?」
「え、誰?◯◯さんって」
「えっと....誰だろう」
私を
忘れないで
私を
消さないで
願いは届かずに
部屋に響くだけ。
|靉靆<あいたい>