『地獄.3』
グゥ~。
希一の腹が鳴った。
「腹減ったな……その前にトイレ」
トイレを済ませた希一は食べ物を捜した。
手で辺りを探ってみるが何もない。
あるのは[砂]だけ。
「………食べれるかな」
希一は[砂]を手に取った。
そしてー
「……うわっ、マズッ!」
ジャリジャリした歯触りが口に残る。
とても食べれたものじゃなかった。
「無理か………」
食べ物を調達しようと再び歩く。
しかし何もない。
「冷たっ」
足に水のような感触が。
「み、水かっ!?」
手で地面を触る。
しかし水ではなかった。
「………さっきの小便?」
おかしい。
たしかに真っ直ぐ歩いていたはずなのに。
「平衡感覚が無くなってる…?」
寒気がした。
今まで希一はいろんな恐怖体験をした。
幽霊に会っただとか、車で崖の上から落ちそうになっただとか。
そんなものをもろともしないほど、今、恐い。
恐い。
「俺が………壊れる…?」
ゾッとした。
希一は闇に向かって走り出した。
「何なんだっ!?俺に恨みでもあんのかよっ!!!」
希一は歩みを止めない。
止めてしまったら自分が自分ではなくなってしまう気がしたからだ。
「………はぁはぁ…助けてくれ…」
希一は闇と共に消えた。




