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花束  作者: 辰井圭斗
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姫乃只紫から辰井圭斗

あなたがどうにかなる度、「あなたは素晴らしい作品を書くのだから」とか、「文才があるのだから」とか、そういった理由を並べて、あなたを何とか生に繋ぎ止めようとする人たちのことを、私ははっきり云ってあまり善く思っていませんでした。小説投稿サイトで知り合った仲である以上、結局見えている部分でしか、見せている部分でしかわかり合えないので。"そこ"に言及すること自体は、至極当然と云えば当然のことなのですが。


それでも──あなたに生きていてほしい理由として「良いものが書ける」とか「才能がある」とか、そういったものを引き合いに出すのはやはりおかしくはないかと。それは見方を変えれば、駄文しか書けない者は、才能がなければ死んでもいいと突き付けているようなものじゃあないかと。


だから、私はあなたの作品について感想を述べる機会こそ多々ありましたが──私の記憶する限り、素直にわかりやすい言葉で、あなたの作品を褒めたことは少なかったように思うのです。それは安易な褒め言葉が、あなたに「私にはこれしかないのだ」と、「これだけが私の価値全てなのだ」と、そう思い込ませやしないかと心のどこかで不安だったので。


そう考えると、『先輩』に贈ったレビューの後半二文は、本心だったとは云えらしくないことを書いたなぁと今でも思っていて。ただ、あなたはきっとこの作品が好きだろうから、偶には煙に巻こうとせず素直に書こうかと心に決めた結果があれでした。


この作品を出した今、ああもうあなたに向かって放てる弾丸は残っていないと、正真正銘の弾切れだと観念していた矢先、あなたがくれた言葉から自分にはまだ撃てる弾が残されているのではないかと、文才だとか実力だとかそんなものは一切関係ない、あなたを生きる方へと繋ぎ止めてくれるかもしれない一発を見つけてしまった、それを──狡いとわかっていながら放つ私を許してほしい。


私"も"あなたに会えなくなるのが厭だ。


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