泣く理由を知らない俺が、泣く理由を持つ君と出会ったなら
父を亡くしたあの日、誰もが泣いた。母も、祖父母も、父の同僚も。ただ1人、光輝だけは泣けなかった。涙の意味が分からなかった。「人でなし」と母に言われたその言葉は、彼の心に深い傷を残す。やがて母は再婚し、光輝には同い年の義妹、雅ができた。彼女は泣き虫で、些細なことでも涙を見せる。泣くことを「無駄」と切り捨てる光輝と、泣くことで強くなる雅。正反対の二人が出会った時、止まっていた光輝の心は少しずつ動き始める。――これは、「泣けない光輝」と「泣く理由を持つ雅」が出会った物語。光輝と雅が迎える衝撃的な結末に涙と痛みの意味を知る。